逃げ切った?指名手配犯を匿うリスクと見つけたときの正しい動き方!

皆さんは、指名手配犯がどのようにして警察から逃げ切るかを知っていますか?

整形をしたり、変装をしたり…ということが皆さんの予想でしょうか。

実はこのほかにも、誰かに「かくまってもらう」という方法があります。指名手配犯にとっては、これがいちばん都合の良い方法かもしれません。

しかし、知らず知らずのうちに犯人をかくまってしまった一般市民は罪に問われてしまうのか、がここで気になるところですよね?

本記事では「指名手配犯をかくまった場合、一般市民は罪に問われるのか」を中心に、そもそもの指名手配の定義や、実際に逃げ切った指名手配犯の事例も交えてお話していきます!

1、指名手配とは?

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そもそも、皆さんは指名手配とはどんなシステムかをご存知でしょうか?

指名手配とは、警察の手元に逮捕令状があるものの、被疑者が逃亡していて行方がわからない時に、被疑者の逮捕と身柄の引き渡しを全国の警察に要請するシステムのことを指します。

主に罰金以上の刑罰に当たる犯罪に適用され、全国の警察に被疑者の情報を共有することで、検挙率を上げることを目的としています。

罰金以上の刑罰に当たる犯罪とは具体的に何かと例を挙げると、一般的によく知られているオウム真理教や連合赤軍関連の事件はもちろん、意外と知られていませんが、放火事件や殺人事件なども含みます。

犯罪の重大性や罪状によって、これらの指名手配は3つのグループに分類されています。

まず一つめが、オウム真理教や連合赤軍などの社会的に大きな影響を及ぼした事件の指名手配犯が分類されるグループです。

警視庁はこれを特別に「警視庁指定特別手配被疑者」と指定しています。現在該当者はいませんが、過去には地下鉄サリン事件の被疑者などが対象となっていました。

二つめのグループは「警察庁指定重要指名手配被疑者」です。

このグループに分類されている指名手配犯は11人(平成29年11月1日現在)存在しますが、その多くが殺人や強姦致死、強盗などの重大な犯罪を犯しています。
事件発生から既に長い年月が経っている事件もあるので、一刻も早い逮捕が求められています。

この現状に対し警視庁は、交番やホームページに警察庁指定重要指名手配被疑者らの顔写真と罪状を公開し、一般市民からの目撃情報を募っています。

三つめのグループは、一般指名手配犯が分類される「都道府県警察指定重要指名手配被疑者」です。

このグループに分類された指名手配犯の情報は一般には未公開で、警察内のみで共有されています。

平成29年9月末現在で、その数は全国で約680人にも上っているそうです。大々的に報道されないものの、私たちに一番身近な指名手配犯はこのグループに打ち分けられている被疑者たちなのかもしれませんね。

また、予備知識にはなるのですが、指名手配と混同しやすい公開捜査という制度もご紹介致します。

公開捜査は指名手配と似ている点がいくつかあり、二つの制度の大きな相違点は、公開捜査では捜査情報を一般に公開して捜査をすすめるということです。

捜査情報が指名手配犯に知られてしまうという一面もありますが、一般市民にも情報共有をすることで指名手配犯の検挙率は確かに高くなるかもしれません。

さて、”指名手配とは行方の分からない被疑者を見つけるための方法”ということはご理解いただけましたでしょうか?

ここからは、いざ指名手配犯を見つけたら、私たちはどう行動すべきかについてお話します。

2、指名手配犯を見つけたらどうする?

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指名手配犯を見つけたらまずは、最寄りの警察署か110番に通報しましょう。

「顔を見て似ていると思ったものの、はっきりとした自信がない…」という人も、遠慮せずに警察に情報を共有することが大事です。その僅かな情報が指名手配犯逮捕につながる可能性も十分にあります。

また、有力な情報を提供した一般市民には報酬金が支払われる可能性もあります。

これは指名手配犯の検挙率アップを目的としている制度で、主なものは「捜査特別報奨金制度」と「私的懸賞金」です。

捜査特別報奨金制度」は警視庁によって運用されているもので、重大凶悪事件に関する有力な情報を知らせた人に最大で300万円までの報酬金が原則として支払われるシステムです。

警視庁は匿名通報による情報提供も受け付けていますが、匿名通報は捜査特別報酬金の支払いの対象になりませんのでご注意ください。また、警察職員や指名手配犯本人からの情報提供も同様に、「捜査特別報奨金制度」の対象にはなりません。

私的懸賞金」は、主に被害者・遺族の会によって実施されていることが多い制度です。

現在は、2002年に発生した「北砂七丁目質店経営者夫婦強盗殺人事件」に対して最大300万円の私的懸賞金が賭けられており、これは北砂七丁目質店経営者夫婦強盗殺人事件の捜査に協力する会によって実施されています。

警視庁から情報提供が要請される一方で、指名手配犯を見つけたついでに身柄も取り押さえてしまった方が一般市民にとってもよいのでは?と思っている方も中にはいらっしゃるかもしれません。

しかし、このようなお考えをお持ちの方は要注意です。

なせなら、一般市民による指名手配犯の確保は認められておらず、万が一相手にけがを負わせた場合には私たちが罪に問われてしまうかもしれないからです。

指名手配犯を見つけて取り押さえようとしたにも関わらず、相手になんらかのケガをさせてしまい、自分も同時に逮捕されてしまった…という事態は避けていただきたいので、「私たちにできることは情報提供のみ」ということを是非忘れないで下さい。

3、そもそも指名手配犯が捕まらない理由って?

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全国区で警視庁が捜査を行い、一般市民からの情報提供もあるにも関わらず、なぜ指名手配犯は捕まらないのでしょうか?

まず大きな理由としては、見た目の変貌が挙げられます。

 

見た目の変貌は、指名手配犯が整形をしたり、年をとって人相が変わった場合に起こり、交番や警視庁のホームページに載っている写真と顔が違うので、指名手配犯発見の遅れの一因となっています。

警視庁は指名手配犯の老化した顔を予測するなどの対策をとっていますが、整形で激変してしまった顔についての予測はどうしても難しい部分があるようです。

また、長い逃亡生活によって体型が大きく変わってしまう指名手配犯も少なくありません。

体型が変わる原因はストレスや病気など人によって様々ですが、指名手配時は太っていた被疑者が逃亡生活中に激やせをしていた場合に、目撃情報による指名手配犯の発見はかなり難しいとも言えるでしょう。

例としては、元オウム真理教信者で一連の事件に関与したとして指名手配されていた菊池直子容疑者が挙げられます。

体重は公開されていないものの、指名手配時(平成7年)から17年が経った逮捕時には、当時の丸みを帯びた顔のラインは全く見ることができませんでした。

逮捕後の表情は疲れ切っていて、実年齢よりも老けているように見えるかもしれません。

この他にも、偽名の使用や逃亡中に死亡していることも理由に含まれる可能性があります。

4、逃げ切った!時効成立の事例2選

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2010年に殺人罪に対する公訴時効が廃止されましたが、それまでに公訴時効を迎えている事件も少なくないことを皆さんはご存知でしょうか?

それらの事件の被疑者は実質的に警察から”逃げきった”ということになり、その多くが今も行方が分からないままです。

公訴時効が成立している事件では
①三億円事件
②グリコ・森永事件

が特に有名なものとしてよく話題に出されるので、今回はこの2つを事例として挙げます。

まずは、謎の多い強盗事件として現在も記憶に残る三億円事件についてお話します。

①三億円事件

1968年(昭和43年)12月10日に、東芝府中工場作業員のためのボーナス約3億円を積んだ日本信託銀行国分寺支店の現金輸送車が、警官に扮して白バイに乗った男に強奪されました。

当時の容疑者リストには約11万人が載り、17万人の捜査員が捜査を行い、約7年間で9億円以上の捜査資金が充てられました。

それに加えて、犯人のものと思われる遺留品も多く発見されましたが結局逮捕には至らず、1975年に公訴時効が成立しました。なお、現在も盗まれた約3億円の行方も分かっていません。
つぎに、1984年から1985年にかけ関西地方を中心として発生したグリコ・森永事件です。

②グリコ・森永事件

1984年3月18日の夜に江崎グリコの社長が誘拐されたことを筆頭に始まり、犯人と思われる人物から立て続けに「青酸入りの商品を店頭に置く」「1億円用意しろ」などという脅迫状が送られました。江崎グリコだけでなく、丸大本社や長岡香料、森永製菓も同様の被害にあいました。

目撃情報がとても少なかったことが原因となり犯人像を絞り込めず、2000年2月12日に完全に公訴時効を迎えました。

どちらの事件においても、やはり目撃情報の少なさという理由が被疑者を逮捕を難しくしてしまったのかもしれません。

5、指名手配犯を匿うとどうなる?

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さて最後に、犯人を匿った時に問われる可能性のある罪についてお話します。罪状としては、二つに分けることができます。

指名手配犯に場所を提供するなどをして逃走を手伝った場合には、犯人蔵匿罪に問われる可能性があります。また、相手が指名手配犯であると知っていながら、その人の発見や逮捕をわざと遅らせる行為(変装道具を渡すなども含む)をした場合は犯人隠蔽罪に問われる可能性があり、身代わり出頭もこれに該当します。

どちらの罪においても2年以下の懲役、または20万円以下の罰金が科されることが刑法103条にて述べられています。

また、知らず知らずのうちに指名手配犯をかくまってしまった場合は罪に問われない可能性があります。

長い逃亡生活の中で指名手配犯の顔つきが変わっていることも考えられますので、見分けることは至難の技だと言えるでしょう。

さらに、この人は指名手配犯なのでは?と思いながらかくまっていた場合も、犯人蔵匿罪や犯人隠蔽罪に問われないことがあります。これは、「知っていてわざと知らせなかった」ということにはならず、かくまった人の行為に違法性がないといえるからです。

そして、犯人蔵匿罪と犯人隠蔽罪に対する刑罰が免除される可能性のある例として、指名手配犯の親族や家族がそれらの罪に当たる行為をしてしまった場合が挙げられます。

免除になるかもしれない理由は、親族や家族などの特別親しい人々が指名手配犯をかくまってしまうことはごく自然的な、人情によるものだからです。

7、小括

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いかがだったでしょうか?

一般市民が指名手配犯をかくまった場合には、罪に問われてしまう可能性があることをご理解いただけましたか?

指名手配犯を見つけた時に大切なことは、できるだけ早く警察に通報することです。より明確な情報を提供することで、指名手配犯の逮捕に協力することができるでしょう。

自ら指名手配犯を確保する、などという危険な行為には注意してくださいね。

8、まとめ

・指名手配犯を見つけたら警察に通報する
・一般市民が指名手配犯を逮捕することはできない
・もし指名手配犯に怪我をさせた場合は、罪になる可能性もある
・匿名での情報提供は、懸賞金の対象にならない
・指名手配犯をかくまうと、犯人蔵匿罪と犯人隠蔽罪に問われる可能性がある
・指名手配犯だと知らずにかくまった時は、罪にならないかもしれない