給料や保険ってどうなってるの?ボランティアに関する法律を紹介!

「ボランティア=善い行い」というイメージを漠然と持っている方は多いかと思いますが、最近話題にも上がった東京オリンピックのボランティア募集の件の影響で、ボランティアについて再考する議論が盛り上がってもいます。何がボランティアで、何がボランティアではないのか曖昧になっているかもしれません。今回はそもそもボランティアとは?などの基本的な疑問を解決しながら、ボランティアに関して気になる給与や保険に関する問題を解説していきます。

1、そもそもボランティアって何?

そもそも「ボランティア」とは、どのような活動を指すのでしょうか。
「何かに協力をする」「無償で奉仕をする」などのイメージが強いですが、具体的な定義について知っている人はそこまで多くないでしょう。
ボランティアの定義としては、「自発的な意思に基づき他人や社会に貢献する行為」という言葉で説明できます。

(弁護士トットコムNEWSより引用- https://www.bengo4.com/c_5/n_8374/

キーワードとしては、「自発的な意思」「他人や社会に貢献」といった言葉が当てはまります。
「自発的な意思」とは、他者の命令などによって参加をする物ではなく、活動においても使用者の指示ではなく自ら進んで行動をすることが求められます。

「他人や社会に貢献」とは、活動の目的が自分のためではなく、他者や社会全体などに向けられているということです。

以上をまとめると、ボランティアとは、他人や社会に貢献することを目的に、自らからが進んでやる行動といえます。ただ、これは「広義のボランティア」と理解することができます。ボランティアには様々な形態が存在するため、種類によって内容が異なることも考えられます。
ただ、どの形態であっても「自発性」や「他者への貢献」という2つの要素は共通して備えているのが「ボランティア」であるといえます。

2、ボランティアにはどんなものがあるの?

ボランティアの基本的な意味については理解できましたが、それでは世の中には一体どのようなボランティアがあるのでしょうか。
よくメディアなどで取り上げられるのは、「東京五輪のボランティア」や「災害ボランティア」ですが、その他にも様々な種類があるので紹介していきましょう。
ボランティアの種類分けをする上で基準となるのは、「ボランティアの対象」です。
何に対してどのような活動を行い貢献しているのかを考えながら見ていきましょう。

⑴「自然や環境」

自然環境を保護するためのボランティア活動です。代表的な事例には、公園の清掃、植樹、野生動物の保護などが挙げられます。

⑵「国際交流・国際協力」

文化交流や国際的な問題などに協力するボランティアです。通訳を始め、難民救助、技術援助、食糧援助などが該当します。

⑶「多文化共生」

国内で暮らす外国人などへのサポートです。生活相談や子供へのサポートなどが含まれています。

⑷「社会福祉」

主に高齢者を対象としたボランティアです。高齢者と子供の交流会や、レクリエーション、その他サービスなどが挙げられます。

⑸「障碍者」

障碍を持たれている方に向けたボランティア活動です。体の不自由な子供を学校まで誘導する、障碍者への技能指導、訪問介助、手話などが該当します。

⑹「健康や医療」

健康や医療に関連するボランティア活動です。献血や巡回医療、健康相談などが当てはまります。

⑺「安全」

地域などの安全に奉仕する活動です。地域の見回りや、通学路での安全運動などがこれに含まれます。

⑻「災害」

災害の被害に遭った地域へのボランティア活動です。救援物資の運搬から、がれき・土砂などの撤去作業、募金活動など様々なものが含まれます。東日本大震災や西日本豪雨に関連するボランティアはこれに該当します。

⑼「まちづくり」

地域の発展や住みよいまちづくりに貢献する活動です。花を植える活動や、放置自転車の整理、まちおこしなどが挙げられます。

⑽「スポーツ・文化・芸術」

スポーツ・文化・芸術の普及と発展に貢献する活動が含まれます。スポーツ教室やワークショップ、育成支援、鑑賞会などが含まれます。

⑾「子供」

乳児や児童、青少年の健全な育成を目的としたボランティア活動です。レクリエーション活動や、児童保育、子育て支援、いじめ相談などが該当します。

ボランティアを分類していくと主に上記の11種類となります。
こうしてみると生活のあらゆる面でボランティア活動の力が必要とされていることがわかります。
また、東京五輪や災害支援など一時的・緊急的に必要なボランティアもあれば、献血や子育て支援など継続的に必要な活動も行われていることが伺えます。

3、ボランティアと労働者の違いとは?

ボランティアについて気になるポイントとしてよく言及されるのは、「ボランティア」と「労働者」の違いです。
何となく「働いてお金を貰うのが労働者」「お金を貰わないのがボランティア」という漠然としたイメージを持っている人も多いかもしれませんが、両者を分かつのは報酬の有無ではありません。
実は、「ボランティア」と「労働者」を分ける要素として、最も大きいのは「指示を断れるかどうか」という部分です。このポイントを見ていくことによって、ボランティアと労働者の判断をすることができます。

先ほど簡単に紹介したボランティアの定義を思い出してみましょう。ボランティアは「自発的な意思」に基づいて、他人や社会に貢献する活動を指します。自発性というのは、自分の意思で活動することであると同時に、他人に強制されないことでもあります。これに該当しないものはボランティアとは見なされません。

一方で、労働者の定義はどのようになっているのでしょうか。労働者であるか否かを判断するためには、労働基準法の定める労働者の条件を満たしている必要があります。
労働基準法において、労働者かどうかを判断するための要素は、使用者(雇用主)に雇われていることであると考えられます。雇われている労働者は、使用者の指揮監督の下、労務を提供し、それに対して報酬が支払われます。
つまり、労働者は使用者の指示によって働き、報酬を得る人であるといえます。使用者の命令や指示に対して労働者が断ることは難しいと考えられます。

ボランティアと労働者の違いは、このような内容に集約されるといえます。自発的な意思で参加し、活動内容や指示を断る自由のあるボランティアに対して、使用者の指示・命令に従って働く労働者という明確な違いが存在しています。

また、保険の加入に関しても「ボランティア」と「労働者」で規定が異なります。
労働者の場合、労働保険に加入することが必須となりますが、ボランティアに関しては、保険の加入は任意となります。
特に、ボランティアの場合、手続きなどによって、活動中のケガなどに関して、団体側の免責事項を設けることも多く、災害地域など危険が伴うような場所でのボランティア活動においては、保険への加入が推奨されています。

⑴判断に困るケースについて

個別のケースによっては判断に困る場合がありますよね。例えば、東京五輪のボランティアでも、交通費が支払われる点や、研修に参加し、活動内容についても指示を受けることが考えられます。また、ボランティアには有償の活動も含まれますよね。報酬について最低賃金法
の適用の可否についても疑問がでてきます。これらの点について詳しく見ていきましょう。

①有償ボランティアについて

ボランティアかどうかの判断基準は「指示を断れるかどうか」なので、まず第一に報酬の有無によってボランティアか労働者か決まるわけではありません。
しかし、報酬が発生している以上、最低賃金法の適用を受けると考えられます。
そのため、有償ボランティアの場合、たとえボランティアであっても報酬が最低賃金よりも下回っていたら違法となる恐れがあります。

②東京五輪のボランティアについて

東京五輪では会場スタッフから、医療や通訳などの専門スタッフもボランティアに含まれています。
これらの活動においては、当然ながら何らかの指示があり、決まった行動が求められるはずですが、これらは労働に該当しないのでしょうか。
これについて重要なのは、ボランティアの自主性が担保されているかどうかです。求められた活動内容や指示に対して、断る自由が尊重されているのか論点となるでしょう。

4、ボランティアに関する法律

ボランティアの種類から労働者との違いまで詳しく解説してきました。
ここでは、ボランティアに関連する法律について取り上げていきます。
「ボランティア」という活動がどのような法律に基づいて実施されているのか、その詳細を調べていきましょう。

⑴教育基本法

教育基本法は、世界平和と人類の福祉の向上に貢献することを理想とし、「真理と正義の希求」「公共の精神の尊重」「人間性と創造性を備えた人間の育成」「伝統の継承と文化の創造」を目指すための教育を推進するための法律です。

①第2条(教育の目標)第4項
「声明を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」
②第3条(生涯学習の理念)
「~生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現~」
③第13条(学校、家庭及び地域住民などの相互の連携協力)
「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

教育基本法には、以上のような内容が含まれています。理念的な内容ではありますが、このような考え方に則り、例えば、高齢者への技能指導(生涯学習)や環境美化などのボランティアが行われていると考えられます。

⑵社会教育法

社会教育法は、教育基本法の精神に則り、社会教育に関する国や地域の役割を明らかにするための法律です。この「社会教育」という言葉には様々なものが含まれますが、第2条には、「青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションを含む)としている。

①第3条第3項
「国及び地方公共団体は~中略~家庭教育の向上に資することとなるように必要な配慮をするとともに、学校、地域及び地域住民その他関係者相互間の連携及び協力の促進に資する~」
②第5条第12項
「音楽、演劇、美術その他芸術の発表会などの開催及びその奨励に関すること」

以上のような内容が含まれています。法律が示す目的を達成するためにボランティアという方法があらゆる面で活用されていることが考えられます。

⑶学校教育法
学校教育法では、教育基本法が定める目的を実現するために、教育機関に対して目標を定めた法律です。

①第31条(小学校)
「小学校においては~中略~特にボランティア活動などの社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとする」

教育機関にボランティア活動に積極的に寄与することによって、教育上の目標を達成することを求めています。

ボランティアに関する理念的な背景には、これらの法律が関わっているといえます。
社会貢献や自然の保護、社会的弱者への援助などを達成するだけではなく、人間形成や社会的な教育を目指すものとして位置付けられていると考えられます。

(【条文】https://www.nier.go.jp/jissen/book/h26/pdf/v_all.pdfより引用)

5、実際はボランティアではなく労働者にあたると思ったら?

ボランティアについてあらゆる角度から把握していきました。
これからボランティアに参加することを検討している方にとっては、役に立つかもしれません。
特に、ボランティアと労働者の区別は覚えておかないとせっかくの善意を悪用される可能性もあります。
ボランティア活動だと思って参加してみたら、「これって労働では?」と気がつくこともあるかもしれません。
自分がやっている活動が「ボランティア」なのか「労働者」なのか判断に困ることもあるでしょう。「指示を断れるかどうか」という基準はあるものの、実際には、かなり判断に困る微妙なラインである場合もあります。
そのようなケースにおいて、自分の力だけで何とかするのは難しいですよね。

もしボランティアと思って参加した活動が労働に該当するかもしれないと思ったのであれば、適切な機関や専門家に相談するのが最善といえます。
例えば、法律の専門家であれば、起こったケースに対して、法律に基づいた判断を得ることができます。ボランティアとして参加した活動が労働に該当した場合、支払われるはずだった賃金を請求することができる可能性もあります。
最近では、一部のボランティアを「やりがい搾取」と批判する声もありますが、せっかくの善意を都合よく利用されないためにも、対処法を頭に入れておくべきです。

また、法律の専門家などに相談を持ち掛ける場合は、自分が参加した活動について、どのような活動をしたのか、どのような書面を交わしたのかなどを記録に残しておくことが必要となります。
いくら訴えたとしても、客観的な証拠がなければ、まともに扱ってくれる可能性も低くなると考えらえます。
参加したボランティアが労働に該当すると少しでも感じたのであれば、行った手続きや現場でやったことや、言われたことを記録に残しておくことをおすすめします。

6、迷惑にならないボランティアを!

 

最近の風潮では、ボランティア=搾取というイメージが広がっていると思われますが、だからといってボランティアの力を必要としている人は必ずいます。
そういった人たちを助けるためにも、積極的にボランティアへ参加する意識は持つべきです。
今年だけでも、西日本豪雨、北海道大震災、台風21号(大阪)など、数多くの災害に見舞われました。災害に遭われた人たちに、1日でも早く元の生活を取り戻してもらうためにも、ボランティアへの参加を考えた人、実際に行動を起こした人は数多くいるでしょう。

しかし、その中でも問題が生じていることは事実です。
例えば、指示に従わない身勝手な活動によって、周囲の混乱を招いたり、被災地にとって不要な物を救援物資として送ってしまい余計な労力を割かねばならなくなるなど、善意が裏目に出て迷惑をかけてしまう事例が数多く見られました。
被災地に迷惑をかけてしまうことももちろんですが、災害状況がひどい場合、勝手な行動は自分自身を危険にさらしてしまうこともあります。

そのためボランティアを行う上では、何をすることが相手にとって役に立つのかを考えたうえでの行動が求められます。
被災地へのボランティアでは、散発的な支援ではなく、まとまった活動が求められるため、ボランティアを実施している機関に申込んでから参加したり、救援物資を送るにしても、被災地にとって必要な物を調べ、自分で自治体に直接に送るのではなく、物資をまとめて送ることができる機関に預けるといった行動が求められます。

せっかく抱いた善意を形にするのですから、相手にとって役に立つ形にしたいですよね。そのためには、自分の行動が相手にとってプラスになるのかどうか、どういった形で活動をするのが迷惑にならないかなどの配慮が必要となります。

これまでに起きた災害では、ボランティアに関するこれらの問題が生じていたために、ボランティアが万全に機能するのが難しいこともありました。
これから何かしらのボランティアへの参加を検討されている場合には、これらの問題を教訓にボランティアに取り組むようにしてください。

7、小括

いかがだったでしょうか。最近では何かと話題を集めているボランティアですが、疑問に思っていた内容について、具体的な答えが理解できたと思います。特に、「ボランティア」と「労働者」の違いについては頭に入れておいて損はないでしょう。ボランティアは社会にとって必要な力であることは間違いないので、正しい知識で活動できるようにしていきましょう。

8、まとめ

・ボランティアの本来の意味
・ボランティアの種類について
・ボランティアと労働者の違いについて
・ボランティアに関連する法律について
・参加したボランティアが労働だと思ったときの対処法
・迷惑をかけないボランティアの参加方法