【就活生必見】鉄道事業に就職し、法学部の知識を生かすには

私が行っている仕事は、自治体等の道路管理者からの協議を受けて踏切を構造改良(大きく)する仕事です。

こういった道路拡幅に起因する工事は「負担金工事」と言って、工事の実施をする前に施行協定を締結してから行います。

施行協定ではどういったことを決めるかというと、工事費の負担割合、工事の管理費の率分や、完成した目的物の財産帰属、引渡し時期を決め、反社条項と言われる条文も忘れずに盛り込みます。

民法(総則・契約法)、税法をはじめ、皆さんが普段、学習している法律の内容が多く含まれます。

ただ、仕事を円滑に進める上で求められるのは条文の作成能力だけではありません。

現場の状況や固有の条件を施工協定に具体的に反映させる力です。

ですから保有している主な国家資格は「1級土木施工管理技士」「第1種電気工事士」「第1種衛生管理者」「危険物乙種第4類」「測量士補」と現場に携わる関係のものが多くなっています。

これ以外にも「軌道工事監理者」「列車見張員」といった鉄道固有の資格取得を求められる場合がありますが、鉄道事業では固有技術や高い安全対策が求められることから実務経験を受験条件・受講条件とする資格が多く見られます。

従って学生時代に鉄道に関する資格取得を目指しても、実務経験の不足から取得が難しい場合がほとんどでしょう。

就活で鉄道業界を目指す法学部生がチャレンジしたい資格

それでは、鉄道事業で活かせる資格で、法学部がチャレンジできる資格はどういったものがあるのでしょうか。以下に代表的なものを2つご案内したいと思います。

宅地建物取引士

受験には実務経験が不要です。また資格試験の内容としては民法の出題を中心とした「権利関係」、都市計画法や建築基準法などの「法令上の制限」といった内容が出題されます。

1年に1回しか受験機会がなく、試験難易度も決して易しくはありませんが、学生のうちに取得しておくと良い国家資格の一つです。

宅建の知識は、「直接的」に鉄道事業に結びつく場合は限られます。

例えば都市計画事業に伴い、鉄道用地と宅地を換地する必要がある場合などに限られるでしょう。

ただ、そういった場合はレアケースで、さらに「自己の財産の処分」行為ですから、宅建有資格者が業務まで行うことは要件とされていません。

しかし法律独特の文言に慣れていることや、契約書や協定書の内容理解には非取得者と比べた場合、かなりの差があると言えます。

また前述の負担金工事の施工協定では、道路管理者以外にも区画整理組合が協議対象となる場合もあります。

こういった場合でも宅建の試験科目である土地区画整理法について勉強したことがある方ならスムーズに進められると思います。

さらに同じく試験科目である農地法は、踏切拡幅工事中の作業ヤード確保のための(一時)農地転用手続きの際も知識が役立つものと思います。

測量士(補)

「法学部で測量士?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、測量士補の試験は実務経験なしで受験することが可能です。

鉄道事業は他の輸送形態と違い、「自分の土地を走る」という独特な部分があります。

さらに、国土交通省(運輸局鉄道部)に「建築限界」を届け出ており、建築限界内には夜間工事などの一部例外を除いて、厳格な構造物管理も求められます。

こういった鉄道用地測量を行う際に「トラバー点」「基準点」「GPS」「GNSS」「水準測量」「精度区分」といった言葉は、決して難しくはないのですが、知っていないと答えられない種類のものになります。

また測量の基本的な技術を知ることで、前述の「現場の状況や固有の条件を反映させる力」が高まります。

さらに、鉄道の中には旧国鉄時代からの財産を継承する鉄道事業者も多くあります。

元々は国の所有する土地であったことから、表題登記のされていない土地があります。いわゆる無地番の土地です。(「国」が「国」に対して税金を払う必要がないため、このようなことが起こりました。)

表題登記をしないことに対して罰則規定こそありませんが、不動産登記法においては実質的な所有者には表題登記をする義務が課せられています。

こういった事象を理解し、表題登記を申請する際にも有資格者の方が有効でしょう。

資格勉強の効率的な時間配分で就活のプラス材料に

今までご紹介した案件を学生の皆さんがいきなり担当するということはまずありえないと思います。

ところで鉄道事業は好むと好まざると、夜勤を伴います。夜勤明けに資格取得に取り組もうとしても、学習効率はかなり落ちます。

しかし、いつかは仕事を任され、(資格取得という形を伴わなくても)取り組まなければならなくなるときが必ずきます。

その段階になってゼロから取り組むか、学生時代の今から取り組むか。早いか遅いかの違いだけなのです。

今現在もレポート提出、単位取得、卒論など多忙を極めているという学生も多いとは思いますが、時間をうまくコントロールして、チャレンジしてみてください。

時間を効率よく使う技術を身につけたとき就職活動における大きな武器も手にしたと実感してよいでしょう。