中小企業診断士として働くためには / 法学部生注目の資格

中小企業診断診断士という資格をご存知でしょうか?

平成27年に日本経済新聞が行った「取得したいビジネス系の資格」の調査で、TOEICテストを抑え、見事トップとなった人気資格です。

 

法学部のみなさんの中には、ビジネスの世界に進むことをお考えの方もいらっしゃると思います。

そんな方々におすすめの資格が、この中小企業診断士です。この資格を取得すれば、法律や経営に関する知識を駆使し、中小企業の経営の舞台で縦横無尽に活躍できるでしょう。

この記事では、中小企業診断士にはどうしたらなれるのか、資格を取得するメリット、関連資格についてご紹介します。

中小企業診断士とは

中小企業診断士は、経営コンサルタント系では唯一の国家資格です。中小企業支援法に基づき、経済産業大臣により登録されます。法律や経営に関する知識を用い、中小企業の経営状況や経営課題に対して診断や助言を行います。

現状分析を踏まえ、企業の成長戦略について助言することが主な業務ですが、その知識と能力を活かし、幅広く活躍しています。

有資格者の平均年収は、およそ780万円です。

コンサルティング系企業 、会計士事務所、税理士事務所、一般企業など、所属先はさまざまです。

法学部生がビジネスを学ぶのに最適な資格

中小企業診断士は、中小企業の経営に関する的確なアドバイスをするというのが仕事の中心となるため、やはり経済学部や経営学部の方が有利です。

しかし、法学部生は法律の基本が修得できているため、経営法務などの学習では他のどの学部よりも有利といえるでしょう。

法律の知識は法曹の世界だけではなく、ビジネスの世界でも生かせるのです。

ただしそれには、企業経営に関する幅広い専門知識が必要となります。中小企業診断士の学習をすることで、経営、財務などの専門知識をまとまった形式できちんと修得できます。

中小企業診断士になるまで

中小企業診断士になるには、中小企業診断士試験に合格し、さらに実務経験を積む必要があります。順を追って見ていきましょう。

第1次試験

第1次試験は1年に1回、8月に、全国8会場で実施されます。

受験資格に制限はなく、どなたでも受験できます。

受験料は13000円です。

全部で7科目の試験が、2日間かけて行われます。

マークシート形式の試験になります。

 

1日目-4科目

経済学・経済政策 60分

財務・会計 60分

企業経営理論 90分

運営管理 90分

 

2日目-3科目     

経営法務 60分

経営情報システム 60分

中小企業経営・中小企業政策 90分

 

第1次試験の合格基準は、①受験した科目について総得点が全体の60%以上であり、かつ、②満点の40%未満の科目がないこと、です。

ここで、「受験した科目」という部分について説明します。

第1次試験では、科目ごとの合否も判定されます。科目合格基準は、満点の60%を基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率となります。

翌年度と翌々年度の1次試験を受験する際に合格科目を申請することで、当該科目の受験が免除されます。

また、受験が免除になる条件が科目ごとに定められています。

例えば、弁護士や公認会計士や税理士などの有資格者や試験合格者であることなどです。

これらの合格科目や免除科目を除き、受験した科目についての総得点、ということになります。

第1次試験は科目数が多いため、一度の受験で全ての科目に合格することはなかなか難しいです。数年単位の受験戦略が必要になるかもしれません。

第1次試験の学習時間の目安は、800時間とされています。

合格率は20±5%と、年によって多少の幅があります。

2次試験

第2次試験は1年に1回、10月と12月に、全国7会場で実施されます。

第1次試験に合格した方のみが10月の筆記式試験を受験でき、筆記式試験に合格した方のみが12月の口述式試験を受験できます。

受験料は17200円です。

筆記式試験の内容は、以下の通りです。1日で行われます。

事例 I(組織・人事) 80分

事例 II (マーケティング・流通) 80分

事例 III(生産・技術) 80分

事例 IV (財務・会計) 80分

 

口述式試験では、筆記試験の事例をもとに、約10分の個人面接での試験が行われます。

合格基準は、筆記式試験では、総点数の60%以上でかつ1科目でも40%未満のものがないこと。口述式試験では、評定が60%以上であることです。

学習時間の目安は、200時間とされています。

第1次試験は暗記が中心でしたが、第2次試験は暗記したことをきちんと活用できるかが問われます。

口述式試験もありますので、一定のプレゼンテーション能力も要求されます。

筆記式試験の合格率は、ほぼ20%です。

ただし、これは第1次試験を合格した人たちの合格率であることに注意が必要です。第1次試験と筆記式試験を併せたストレート合格率は約4%になります。

口述式試験の合格率は、99%以上です。

15日以上の実務補習または実務従事

中小企業診断士になるためには、試験に合格するだけでは足りません。中核的業務である、経営コンサルティングの実務経験が不可欠です。

そのため、①専門機関による実務補修を受講するか(実務補習)、②必要要件を満たした実務に従事する(実務従事)、のどちらかの15日以上の経験が必要となります。

なお、ほとんどの合格者が実務補習を選択します。実務補習の受講料は、約15万円です。

 

これが済みますと、中小企業診断士として登録されます。

 

*蛇足ですが、中小企業診断士は、5年に一度の更新手続きがあります。

中小企業診断協会に入会しておくと、この更新手続きが円滑になりますが、入会金と年会費がそれぞれ数万円かかります。

登録養成課程について

登録養成課程と呼ばれる制度があります。

経済産業省の登録を受けた機関が実施するカリキュラムを修了することにより、第2次試験及び、実務補習または実務従事が免除されます。

きちんとカリキュラムをこなしていけば、ほぼ確実に合格できます。ただし、期間が半年~2年かかり、費用が100万円~300万円程度かかります。また、機関の数は少なく、その所在地は東京や名古屋などに限られています。

中小企業診断士資格を取得するメリットは?

中小企業診断士資格は他の国家資格と異なる点があります。それは、産廃診断などほんの一部を除いて独占業務が存在しない、名称独占資格であることです。

しかし、資格取得には3つの大きなメリットがあります。

まずは、ビジネススキルやビジネス感覚が身につく、という点です。

資格取得の過程で広汎な知識が身につくため、ビジネスに対する感度が高まります。現実世界で起こっている複雑な事象の原因や影響を考察できたり、周囲の人には見えないチャンスやリスクを発見できたりするようになるでしょう。

次に、論理や判断の能力が身につく、という点です。

ときに人間の感情的な要素もからまった複雑な経営課題を、論理立てて理解し、どのような対策が必要か判断できるようになります。コンサルタントには必須の能力です。

企業経営に関する幅広い専門知識以外にも、人間的なコミュニケーション力や交渉力などの対人スキルが求められるため、AI(人工知能)が進化してもなくなりにくい仕事と言われています。

さらに、人脈が広がる点も見逃せません。

中小企業診断協会に加入し同業者と交流することで、人脈が広がり、さまざまな仕事につながっていきます。すでに企業に勤めている場合は、社外の人脈が格段に増加します。

実績を積んでいけば周囲からの評価が上がってさらに実績を積んでいくことができ、企業内診断士から独立開業することもできます。経験値が高い診断士は、周囲の評価も高いです。

中小企業診断士の関連資格

最後に、中小企業診断士の関連資格を、第1次試験の関連科目と結びつけてご紹介します。

これらの関連資格それ自体だけでも役立ちますし、中小企業診断士の学習の理解が早くなる効果も期待できます。

財務・会計⇒日商簿記3級、日商簿記2級

運営管理⇒販売士3級、販売士2級

経営法務⇒ビジネス実務法務3級、ビジネス実務法務2級

経済学・経済政策⇒経済学検定試験

経営情報システム⇒ITパスポート、基本情報技術者

経営情報システムのところ、できれば科目免除の対象になる情報処理技術者試験の上級資格のどれかに合格しておくのがおすすめです。

決して簡単な試験ではありませんが、弁護士や公認会計士や税理士より合格は容易です。