ヤフオク・メルカリで自分が売った商品が転売された!法的拘束力は?

フリマサイトやネットオークションなど、インターネットを通じて購入したものを、購入価格を上回る価格で転売することは許されるのでしょうか。

また、許されるとするならば、その金額はどの程度が限度となるのでしょうか。

今回は以下のような事例の場合に、どうなるかということを紹介します。

古着を趣味にしている大学生のA君は、月に数回、フリマサイト(メルカリ)で古着の売り買いをしていました。
ある日、たまたま目にしたネットオークション(ヤフオク)の落札結果にA君は愕然とします。
そこには、A君がフリマサイトを通じて5千円で販売したパーカーの古着に、なんとその3倍の1万5千円の落札価格が表示されていたのです。
しかも、落札結果に掲載されたパーカーの写真や説明文までもが、A君がフリマサイトに掲載したものと全く同じものでした。

1、転売とは??

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「転売」という言葉から、安く買った物をフリマサイトやネットオークションなどのインターネットサイトを通じて高く売り利益を得る「転売ビジネス」のことを想像する方も多いと思いますが、一般には、「転売」とは売買の一形態であり、他人から買い取ったものをさらに他人に売り渡すことはすべからく「転売」となります。

ですから、デパートやスーパーマーケットが商品を仕入れてお客に販売するような販売形態はもとより、骨董品店やリサイクルショップなどの事業形態も転売によって成り立っていると言えるでしょう。

つまり、消費社会における物の流通過程は、そのほとんどが転売の連鎖によって構成されていると言えるのです。

2、転売は法律的にNG?

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転売は、民法の「売買契約」に基づいて行われますが、近代民法は契約を自由に行うことができるという原則に支えられており、したがって、自分が他人から買い取ったものを誰にいくらで転売しようとも、これに文句を言われる筋合いはないというのが法律の建前です。

しかし、この建前を野放しにすると、社会に様々な悪影響が生じるおそれがあります。

例えば、処方箋が必要な薬を購入する場合を考えてみましょう。

医薬品の販売は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(かつての薬事法)」(昭和35年法律145号) により規制されており、同法49条では処方箋薬は処方箋がなければ販売してはならないとされています。

これは、処方箋薬が、医師の診断に基づき、特定の患者に対して薬種やその数量を指示して投薬されることが予定されており、その患者以外の者に投薬されると、健康被害などの害悪が生じる恐れがあるためです。

ですから、処方箋薬を買った人が、同じような病気の人に勝手に転売すれば犯罪となり、懲役刑が科されることもあります(同法84条17号)。

転売が禁止されるのは、法令に定めがある場合に限られません。

いわゆる「転売ビジネス」の商材になりやすい、人気グループのコンサートチケットや限定販売のゲームソフトなどについて、転売目的での出品を規約で明示的に禁止しているフリマサイトやネットオークションも少なくなく、こうした規約に反して転売目的での出品をおこなえば、規約に基づき販売停止やユーザ登録の抹消などの様々な制裁が科されることがあります。

3、法令で規制されている転売NGのものとは?

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法令で取引が規制される対象には、先ほど例示した医薬品のほかにも、規制の目的によって様々なものが定められています。以下に、対象となる物と根拠法令を規制の目的ごとに例示してみました。

○社会に危害をもたらす恐れのあるもの

・銃器、銃砲、刀剣など(銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律6号))

・毒物や劇薬(毒物及び劇物取締法(昭和25年法律303号)

・覚せい剤(覚せい剤取締法(昭和26年法律252号))

・麻薬(麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律14号))

○取扱いに高度な技術を要するため許可や免許が必要なもの

・火薬や爆薬(火薬類取締法(昭和25年法律149号))

・高圧ガス(高圧ガス保安法(昭和26年法律204号))

ガソリンや灯油などの危険物(消防法(昭和23年法律186号))

○税収の担保や未成年者の保護

(酒税法(昭和28年法律6号))

たばこ(たばこ事業法(昭和59年法律68号))

○知的財産の保護

偽ブランド品 (商標法(昭和34年法律127号))

○国際的条約に基づく自然や野生動物の保護

・象牙、毛皮など(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律75号))

法令の規制に違反してこれらのものを転売すると、懲役刑を含む刑罰が科されることが法定されており、注意が必要です。

このほか、チケット類は、古物営業法(昭和24年法律108号)の規制対象となり得るほか、転売目的での取引を原則として禁止する条例の定めがすべての都道府県で制定されており、後に述べるように、コンサートチケットを高額で転売して逮捕される事案も発生しています。

4、法律的には転売OKでも、規約やガイドラインによって規制されていることも!

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法令によって、転売が規制されていない物であっても、フリマサイトやネットオークションを運営するサイト運営者が規約やガイドラインにより取り扱いを制限しているものもあります。

例えば、フリマサイトを運営するメルカリは、規約により、転売を目的としたサイト利用を禁止(規約10条2項)するとともに、購入した際に営利の目的がない場合であっても、購入価格を著しく上回る価格での転売を禁止しています(メルカリガイド)。

そして、規約に違反して転売したときには、その売買契約を取り消すことができるとしています(規約11条8項)。

売買が取り消されれば、売買契約はなかったことになりますから、転売された商品を買った人は当然に代金の返還を求めることができるし、売った人は売った商品の返還を求めることもできます。

ただ、「転売を目的」としているかどうかは、もっぱら転売をした人の内心の動機に依りますから、転売がされた過程のすべてを客観的に勘案しても、なかなかその立証が困難である点は留意しておいたほうがよいでしょう。

一方、ヤフオクのガイドラインは、出品してはならない物を個別に列挙していますが、転売目的での出品は原則として自由におこなうことができ、転売が禁止されるのは転売目的で入手したチケット(ガイドライン細則17項)に限定している点にメルカリの規約との違いがみられます。

また、規約やガイドラインに明示されていない取引であっても、公序良俗に反する行為などが認められたときは、それぞれのサイト運営者が取引の停止やユーザ情報の削除などのペナルティを加えることがあります(メルカリガイドヤフオクガイドライン細則46項、48項)。

なお、取引に当たっての法令違反には、出品が禁止されている物を出品するのに限らず、著作権その他の他人の権利を侵害する行為も含まれます。

メルカリガイドでは、他のユーザの写真や文章の無断転用を禁止しています。

他人が出品した商品の写真や商品説明文には出品者の著作権が発生している場合がほとんどで、これらを無断転用すれば、著作権法に違反することとなります。著作権を侵害したときは、損害賠償の請求の対象となり得ることから、この点にも注意しましょう。

5、ヤフオク・メルカリ取引における逮捕事例や裁判事例

フリマサイトやネットオークションで、法令や規約に違反した転売したことにより、逮捕されたり裁判で損害賠償を命じられたケースがあります。

まずは、2016年9月に、ヤフオクで人気コンサートグループのチケットを転売したとして、出品者が逮捕された事例を紹介します。

事案発生当時は、ヤフオクのガイドラインでは、転売目的でのチケットの出品は禁止されていませんでした。しかし、出品者は、日常的にチケット転売を反復継続して行っており、数年間で約300枚のチケットを売り上げ、1000万円を超える利益を上げたとして、古物営業法違反で逮捕されたのです。

この事件の後、ヤフオクではガイドライン細則を改正し、転売目的でのチケットの出品を禁止することとなりました。ただ、この改正についても、転売目的であること立証が困難であることは先述したとおりです。

次に、メルカリに現金を出品したユーザが逮捕された事例を紹介します。

2017年11月に、メルカリに1万円札4枚、額面計4万円を出品し、4万7,300円で販売したとして、出品者が「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」(昭和29年法律195号)違反で逮捕されました。

出資法では、年利の上限利息を貸付額の20%としており、これを超える金利を設定することを罰則で禁じています。

この事案では、お金を貸し付ける人が4万円を4万7,300円で借りる人に購入させ、差額の7,300円を事実上の利息として得た点に着目して刑事事件となりました。

商品代金の決済は、クレジットカードでの購入であっても通常は1か月後となりますから、出品者は、単純計算で制限金利の10倍を超える利息を得たことになります。これに類似した事件が多発したことから、メルカリではガイドラインを改正して、出品を禁止する物に「現金」を追加しました。

なお、この事件のようにメルカリを利用した事実上の貸金行為は、メルカリ利用規約9条5項で禁止されている特定ユーザへの販売目的の出品に違反する可能性もあると思われます。

このほか、2018年2月に、メルカリを通じて仕入れた偽物のステッカーを販売した事業者に対して、商標法違反を理由に、偽ステッカーの廃棄や損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は、この訴えを認めました(東京地判平成30年2月28日)。

判決理由の中で、裁判所は、当時、フリマサイトで、同種の偽ステッカーが出回っており、被告である販売事業者はメルカリで購入したステッカーが偽物であることを疑いつつも転売したもので、過失により他人に損害を生じさせたものと認定しています。

6、営利目的で転売を行う場合の注意点

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ネットオークションやフリマサイトを利用した転売が、営利目的でありかつ反復継続してなされる場合には、古物営業法(昭和24年法律108号)により各都道府県公安委員会の許可が必要となります(同法3条)。

営利目的とは、財産上の利益を得ることを意味し、転売価格が購入価格を上回っている場合はもちろんのこと、仮に下回っていたとしても、転売当時の市場価格を上回っていれば、営利目的であると評価されることがあります。

何らかの意図を含んで、或いは敢えて慈善事業として転売するのでなければ、ほとんどの転売には営利目的があると言えるので、これはあまり気にしなくてもよいかも知れません。

これに対して、反復継続性の評価には注意が必要です。転売がどのくらいの頻度で繰り返されれば、反復継続した転売とされるのかについては、定量的な基準が示されているわけではないので、事例によって個別に判断されることとなりますが、転売が独立した事業として成立し得る程度に繰り返し行われていれば、反復継続性があるものとみなされ、許可なく転売を続ければ、懲役刑を含む刑罰が科されることがあります(同法31条1号)。

先に紹介したチケットの転売での逮捕事例も、本法違反が理由でした。

なお、営利目的と似た概念の中に、「暴利行為」というものがあります。暴利行為というのは、相手の無知や窮迫などに付け込んで、本来の価格を著しく上回る価格で物を売りつけて暴利を貪るもので、このような取引は直ちに無効とされます。

例えば、サイト利用者間でのチャットなどで相手を煽ったり、虚偽の情報を拡散するなどして、安く買った物を法外な価格で転売したりすれば、そのような転売が単発のものであっても直ちに転売が無効とされる場合もあり得ますので、注意しましょう。

7、転売している人から偽物の商品を買ってしまった場合の対応方法

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フリマサイトやネットオークションに出品されていた商品が本物であると思っていたのに、実際に入手した商品が偽物であった場合であっても、サイト運営者の規約には、多くの場合、商品の品質等を保証しない旨の特約(メルカリ利用規約23条、ヤフオクガイドライン)が設けられており、本物の商品の交付や代金の返還、その他の賠償請求などは、偽物をつかまされた買い手本人の責任でおこなわなければなりません。

入手した商品が偽物であった原因には、売り手がその商品を偽物と知っていながらそのことを隠して売った場合と、そもそも偽物とは知らずに転売してしまった場合とがあります。

いずれの場合であっても、買い手は売り手に対して、本物の商品を交付するよう求めることができるほか、偽物をつかまされた結果生じた損害の賠償を求めることができます。

売り手が、本物の商品を交付することができないときは、商品代金を返すよう求めることもできます。

こうした要求をおこなうためには、取引の履歴などを記録し保存しておくことが効果的です。

そして、買い手から売り手に対する諸々の要求は、内容証明郵便を使っておこなうとよいでしょう。内容証明郵便というのは、文字通り郵送した書面の内容を、配達の日時とともに郵便局が記録して証明するもので、相手がこちらの要求に応じないなどの理由により、後日、裁判などの司法手続に移行した場合の有力な証拠とすることができるものです。

また、偽物を出品することは、ネットオークションやフリマサイトを運営するサイト運営者が定める規約にも違反していますから、違反の事実をサイト運営者に速やかに伝えるようにしましょう。

悪意のある出品者による二次被害の拡大を食い止めるほか、他のユーザに対する注意喚起の効果も期待できるからです。

さらに、出品者が、故意に偽物を出品したのであれば、警察に被害届を出すなどして刑事事件として捜査してもらうことも可能です。

8、転売はセカンドハンドショップやリサイクルショップと近い?

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自分が出品した商品が、出品価格よりも高額で転売されている事実を知り気分を害するのは無理もありませんが、フリマサイトやネットオークションに出品する物の販売価格に中間マージンを上乗せして転売しても、それ自体は直ちに違法となるものではありません。

これは、あたかもセカンドハンドショップやリサイクルショップで不用品を処分する場合と同様、中間者が販売手数料を得られなければ、商品の流通自体が滞ってしまうからです。

しかし、インターネットを介した取引では、実店舗を媒介する取引と比較して、相手の顔が直接見えない者同士で、相場価格が不明朗な中での取引となりがちです。

そこで、サイト運営者は、サイト利用者が不利益を被らないよう様々なルールを設けています。

サイト利用者は、その利用規約やガイドラインに従うことを条件にサイトを利用しているのですから、そのルールを守って取引を行うことが当然に求められます。

9、小括

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これまで述べたことを踏まえ、A君がメルカリに出品したパーカーの古着を5千円で買った人が、ヤフオクへの出品で1万5千円を得たことが法的にどう評価されるのかについてまとめてみたいと思います。

まず、パーカーの古着を買った人がそれを転売したとしても、その転売という行為は、パーカーの古着の新たな所有者の正当な権利の行使であり、原則として違法性はありません。

また、転売目的でメルカリを利用したとすれば、メルカリの利用規約に違反しますが、転売が目的であるという購入動機を立証することが極めて困難であることは、すでに触れました。

さらに、購入価格を上回る価格を設定して転売することも、商品の流通過程においてはむしろ自然なことであり、そのこと自体も禁止されるものではありません。

一方で、メルカリガイドが禁止している「購入価格を著しく上回る価格での転売」がどの程度の額になるのかは、購入時点と売却時点との間にどのくらいの期間が経過したのか、また、その間に、対象となる商品の価値がどの程度変化したのかなどの事情によって個別に判断されることとなると思われますが、A君が出品したパーカーを5千円で買った人が、間を置かず、1万5千円で転売すれば、メルカリのガイドラインで禁止される「購入価格を著しく上回る価格で転売」する行為に当たる余地はありそうです。

しかし、A君が売ったパーカーはメルカリではなくヤフオクで転売されたものでした。ヤフオクでは、転売目的でチケット以外のものを出品することは認められており、また、オークションサイトの性質上、出品された物の価値をどう評価するかは、入札をする人の価値観に依るところが大きく、そのパーカーの落札価格が1万5千円だったとしても、その結果が不当であるとは言えないでしょう。

したがって、A君にとっては大変に悔しいことですが、この取引の流れそのものに違法な点はないと結論付けざるを得ません。

なお、商品の写真や説明文は、著作権法で保護される著作物に当たる可能性が高く、A君がパーカーを出品するときに掲載した写真や商品説明をそのまま転用する行為は、メルカリ利用規約20条1項及びヤフオク利用規約6項(2)に違反しており、これらのコンテンツの無断転用の違法性を主張できる可能性は高いものと思われます。

それらの写真や商品説明の内容に集客効果がありその結果としてパーカーが高値で落札されたこととの因果関係が立証できれば、A君には、パーカーの出品者に対して、著作権法違反を理由とする損害賠償を求める余地はありそうです。

10、まとめ

・転売は、原則として自由におこなうことができる。
・法令やサイトの規約などで販売が制限されている物があるので、規約などをよく確認しよう。
・違法な転売をすれば、逮捕されたり(刑事責任)、賠償を求められたり(民事責任)することがある。
・営利目的の転売を反復継続して行うには、古物営業の許可を得る必要がある。
・出品の際は、著作権にも配慮が必要
・売買当事者間のトラブルは自己責任で解決しなければならないため、取引の履歴などを記録し保存しておくことが効果的である。
・トラブルが発生した場合には、取引相手への書面での通知は内容証明郵便を利用しよう。