夜間に自転車でライトを付けない無灯火走行は道路交通法違反なのか?

日本でも幼少期からまず乗ることを覚えていくのが自転車です。そして、大きくなるにつれて、その自転車

と言う交通手段で行動範囲が広くなり、必然的に利用するシチュエーションや時間帯の幅も広くなっていきます。
このように、気軽に乗ってきている自転車でも、公道を通行するときには、大きなくくりとして軽車両の一つとしての扱いになり、車両という意味からでも、通行中に危険な状況に遭遇することも出てきます。
特に昨今の自転車の交通ルールやマナーについて問題になることが多くなっています。そこで、ここでは自転車のライトに関してどのようなルールになっているのかのヒントになる内容を書きたいと思います。是非、最後までお読みください。

1. 自転車のライトってつけなきゃいけないの?

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日本では、交通に関してのルールを法律として定めてある代表格なのが、道路交通法というものです。この法律では、自転車についても援用される条文があります。

この道路交通法52条にも、灯火についての規定があります。そこでは、「自転車も主に公道を通行する際には、“夜間”は他車の通行の妨げにならない限り、灯火しなければならない。」という旨の条文です。この夜間という定義ですが、条文内にもあるように“日没時から日出時までの時間”ということになっています。そして、この条文は、「・・・しなければならない。」という表現なので、灯火は義務であると一般に解釈されそのように運用されています。

また、日本のような狭い国土であっても、厳密に考えると一般的には、北日本になればなるほど、日没は早くなっていくという事実もあって、規定により何時から夜間に該当するという定めができないということになります。

ただ、法律の主旨を考えれば「夜間」に「道路にあるとき」のという表現で記されているため、車両に点灯義務を課すのは、“道路が暗いから”ということと推測されています。したがって、そのような“暗い”という意味合いに該当せず、心配のない明かりの充分な道路に限定して、点灯義務を政令で免除することも法の趣旨には反しないということだと考えられています。またその逆として、トンネルの中などの通行時には、ライトの灯火をしなければならないと解釈されています。

2. 点滅しているライトでもいいの?

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それでは、灯火ということは、常に灯してあるものでなければいけないのでしょうか?

昨今では、スポーツ型の自転車が通勤などにも使用される場面が増えているようですが、そのように通勤などで使用する自転車の中には、点滅する明かり(仮に、「点滅灯」 という)を付けているだけのものも少なくありません。

道路交通法52条では、灯火するという規定の中に、“前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。”という文言があります。その意味では、点滅灯が点灯(正常稼働)していれば問題は無いというような解釈にもなり得ますが、前照灯には、道路交通法施行細則という規則により第一義的に定められており、ただし各都道府県にてその基準の一部を変更して規定することが出来るようになっています。しかし、前照灯の装備目的の意味合いとしては、前方を明確に照らすことが出来て、通行の際に危険を察知また防止することができることを目的としており、その目的の観点からすると、点滅灯は必ずしもその目的をクリアできているとは言えないために、運営基準としては、点滅灯だけでの灯火は、道路交通法の灯火という基準を満たしていないとされています。

その他の尾灯だけ灯火している場合などの詳細なシチュエーションの論議は各種ありますが、ここでは、割愛させて頂きます。

また、前照灯としては、JIS C9502の基準では、400cd(カンデラ)以上の照度が無ければならないとされており、一般的に使用されているようなものでは400cd以上という基準を満たしていないとされています。それから各都道府県が定める各規則のほとんどが「前照灯は白色か淡黄色、10メートル先(神奈川県などは5メートル)の道路上の障害物が確認できる明るさが必要」と定めています。そのような意味でも点滅灯では、要件を満たしていないと考えられています。

参考までにですが、400cdというのは、昨今の明るさを表す際に利用される単位のlm(ルーメン)換算で考えると10~15lmに値すると考えられています。

それから参考までにですが、ひと昔によくあったペダルを漕ぐとその時のタイヤの回転を利用した発電で灯火するライト、いわゆる「リムダイナモ式」のライトは、当然信号待ちなどで停車している際には灯火しないことになってしまいます。この信号待ち停車は、道路交通法2条での定義により、「停車」とみなされると考えられており、それを基準に考えると道路交通法52条にて「停車し、又は駐車しているとき」に該当しない場合については、一見複雑な見解にも見えてしまうが「政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と規定していることの反対解釈により、政令で定めていない以上、灯火をしなくてもよい」という見解が成立するということです。この見解により、リムダイナモ式のライトでも、正常稼働して灯火出来ていれば、道路交通法の要件を満たしていたので問題はないと考えられています。

しかし、リムダイナモ式ライトは、ペダルを漕ぐ際に足に負荷がかかることで、装備として抵抗があることに加え、昨今では、軽量で常に灯火しているLED型ライトが普及してきているため、今後は、LED型のライトを装備することを薦めたいと思います。

3. 夜、ライトをつけずに自転車に乗ると道路交通法違反に!

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それでは、夜間に基準を満たしている前照灯を灯火していなかったときはどのようになるのでしょうか? 実際に自転車に乗る者としては、これが一番関心ある内容だと思います。

まず、自転車でも無灯火であれば先述のように道路交通法規程違反ということになるため、立派な違法行為ということになります。

そして、道路交通法では同法52条の灯火に関する違反の際の罰則は、同法120条に規定があり、「五万円以下の罰金」ということになっています。

そもそも、自転車は自動車と違い、日本では免許制ではありません。つまり明確な乗り方を教えて定期的にその知識や環境を確認する手段も実質ありません。そのこともあり、自転車に乗る側は、気軽にかつ、明確な統一ルールの徹底がなされていない状況に陥っているのです。

それでは、これに違反したという認識や判断は、どのような基準で行われるのでしょうか?

道路交通法では、簡単に言うと警察官のその場の判断にゆだねられているということになっています。同法では、警察官はブレーキをはじめとした車両関係に不備がある疑いがある場合には、その車両を停めて確認することが出来るようになっています。また、その車両に不備があると警察官が判断したときは、その運転手に安全を図るための必要な応急措置を取ることをその場で命ずることが出来ます。そして、その応急措置においても改善不可能などと判断をした場合には、その車両の運転を継続してはならない旨を命ずることができるようになっています。

これまでの実態では、前述のような無灯火などで、警察官に改善命令や運転停止命令を受けた際にも罰金を命ぜられることは、ほとんどなかったようです。しかし、私見ですが、昨今、自転車が関わる重大事故が話題になることが多いために、警察官も故意に無灯火にしている場合などの悪質な運転手には実際に罰金の納付を命令してくる可能性もでてくるのではないかと感じています。

4. 自転車の無灯火運転で事故を起こしてしまったら?

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ここでは、自転車の無灯火運転で事故を起こした場合の責任という、さらに重い話題をお書きします。
先述までの記載内容にて無灯火時の責任の重さを多少は理解できたと思いますので、下記の状況は、比較的容易に想像できるのではないでしょうか。

夜間に無灯火で自転車を運転中に乗用車と衝突事故を起こしてしまった場合、無灯火の事実が「自転車側の著しい過失」の一例として認められ、過失割合が10%加算されてしまい、結果的に自転車側がもらえる可能性のある損害賠償の金額が減らされてしまう可能性が高いこと。昨今ではさらにその実例が増えてきていること。

上記は、自分が自動車事故の被害者の場合に起こりうる事態です。

自転車を無灯火で運転していた場合には、自転車の側にも過失がありますので、結果的にその過失に基づく損害賠償額が減らされてしまうのは仕方のないことかもしれません。

一方、自分が加害者の場合にはどのようになってしまうのでしょうか?

これは実際には、自転車の無灯火とは直接関係はありませんが、最近は自転車事故の高額損害賠償事件が多発しています。

一例を挙げれば、小学校上級生が運転する自転車が、子供に追突して怪我を負わせたとして、被害者が損害賠償を求めていた裁判がありました。この場合の判決では加害者(実際は親権者)が200万円以上の支払いを命じられた事例もあったようです。

とにかく弁護士業務の虎の巻である「判例タイムズ」で閲覧をしてみても、自転車事故の記載が大幅な増加傾向にあるようです。

それでは、以下は自転車の無灯火で事故を起こした場合、しかも自分が加害者の場合にどのようなことが起こるのでしょうか。

以下の例は平成17年のとある地裁の判決を見てみますと、

「市道を歩行中の50代の女性に対し、無灯火で携帯電話を使用していた女子高生の自転車が追突。被害者は、歩行困難となり、職も失うことになりました。その結果、この女子高生(判決時20歳未満)に対し、約5,000万円の賠償命令の判決が下されました。」

次は過失割合がどのように変わっていくのかを記載してみたいと思います。

【事例1】一方に一時停止の規制がある交差点における、一時停止を無視した自転車と直進車の事故。
〔事実認定事項〕
① 夜間、一時停止の規制がある道路から一時停止を無視して直進した自転車と、交差点を直進する車が衝突した。
② 事故時、直進車はライトをつけており、自転車はライトをつけていなかった。

【結果的な過失割合】
A(直進の車):B(無灯火の自転車)=45%:55%
【過失割合決定までの解説】
交差点の一時停止を無視して直進した自転車と、交差点を直進した車との事故の場合、基本の過失割合はA(直進の車):B(無灯火の自転車)=60:40となります。

この事例の場合、まず、事故が発生した時間帯が自転車を視認が困難な夜間であることから、B(無灯火の自転車)の過失が5%上乗せされます。
さらに、自転車は夜間走行する際に灯火することが義務付けられているので、それを違反したB(無灯火の自転車)に“著しい過失がある”と判断され、10%の過失が上乗せされます。

その結果、基本の過失割合にB(無灯火の自転車)の過失が15%加算されたため、『A(直進の車):B(無灯火の自転車)=45%:55%』という考え方になり、過失割合が逆転してしまいました。

なお、参考までにA(直進の車)側に脇見運転などの前方不注意や時速15km以上の速度違反が認められた場合は、A(直進の車)の過失が上乗せされる可能性があります。
また、B(無灯火の自転車)が児童等(おおむね13歳未満)や高齢者(おおむね65歳以上)の場合も同様に、A(直進の車)の過失が上乗せされる可能性もあります。

今回の事例のようなケースでは、ほとんどの場合、優先道路ではない側が一時停止をすれば交通事故は回避できると考えられます。
しかし、自転車の場合は一時停止がおろそかになっている場合も多いようです。事故を防ぐためには、自分が優先道路を走っていたとしても、「路地から自転車が飛び出してくるかもしれない」逆に「通りには車が猛スピードで入っているかもしれない」など、さまざまな可能性を想定しておく「かもしれない運転」を常日ごろから意識することが効果的といえます。

警察庁のデータによると、2017年に発生した自転車乗車中の事故は約9万件で衝突相手は車が84%を占めています。そのうちの大半が出会い頭の事故となっており、かなり高い確率で自転車と車の出会い頭の衝突が発生しておりかつ、自転車と車の交通事故は、出会い頭が半分以上になっているようです。(出典:警察庁交通事故発生状況 交通事故の発生状況について 平成29年 https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/toukei.htm 2018年5月10日参照)

自転車の絡む事故を防ぐために自転車も車も「かもしれない運転」を心掛けるようにより一層の注意が必要になると思います。

たかが自転車と軽く考えていると、加害者及び被害者両者の人生を台無しにしかねない悲惨な事故の加害者になってしまうこともありえます。
そういったことに対する用心のためにも、まずは夜間の灯火から始めてみてはいかがでしょうか。

皆さんもご認識されていることと思いますが、交通事故は起こさないことが一番です。

5. ライトが壊れてしまったら?

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速やかに修理するべきことは当然ですが、明らかに修理する気持ちが見えない状況であれば、先述の警察官の判断で、罰金刑になる可能性が高くなると思います。
ライトは、昨今では安価なものも販売されています。数百円で購入できるものもありますので、故障と気付いた時には早急に修理もしくは取り替える必要があるでしょう。
なお、前照灯として、一般的な懐中電灯を代用しているケースも見受けられますが、自転車の前照灯に関しては、灯火の義務はありますが、規定としての装備義務はありませんので、cdの条件を満たす懐中電灯などで灯火しておけば、灯火としての要件は満たしていることになります。しかし、片手に懐中電灯を持って前を照らしながら片手運転になってしまうと違う嫌疑が発生してしまう可能性が高くなるので注意しましょう。

6. 小括

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いかがでしたでしょうか? これまで、記載してきた内容に関して場合によっては10年以上意識せずに乗ってきた自転車も意外に危険で注意が必要な車両であったことに驚かれたのではないでしょうか。

まず言えることは、自転車も夜間に「無灯火」で走行すると、交通事故の過失割合などの判断で不利になってしまいます。

先述のように道路交通法52条にて「自転車は、夜間や暗いところでは灯火をつけなければならない」という趣旨の条文になっています。
専門家の意見としては、「ライトをつけずに自転車に乗ることは、道交法に違反する行為となるのだ。そんな状況で、交通事故にあうとどうなるのだろう。」と。
また、別の見解では
「仮に夜間に無灯火で自転車を走行中に、乗用車と衝突事故を起こした場合、損害賠償請求に際しては、無灯火であったことが請求額に影響を及ぼしてしまう。
自転車の交通事故の場合、それぞれの「過失」がどれだけあったかが重要なポイントとなるが、その過失割合の判断において、「無灯火」での自転車走行は不利に働く。」ということでした。

では、逆に自転車が無灯火であったために、乗用車側の責任がなくなることもあるのでしょうか。

専門家の意見としては、「乗用車の過失の有無は、事故の態様(乗用車に速度違反や徐行義務違反があったかどうか)や自転車運転者の属性(児童や高齢者)など、多くの事故事情が総合的に考慮されて、判断されます。したがって、自転車が無灯火であっただけでは、乗用車の責任がなくなるということはありません。」ということでした。

つまり、乗用車の運転者からすると、無灯火の自転車だからといって、ただちに事故の責任がなくなるわけではないので、注意が必要なのです。

とはいえ、夜間にライトをつけずに自転車に乗ることは、道路交通法違反であるうえに、万が一事故にあったときに、損害賠償請求額が減額されてしまう原因となってしまいます。よって、「ちょっとくらいなら無灯火でも大丈夫だろう」と安易に考えずに、ライトをつけることを習慣づけたほうがよいと思います。

また、学校に通う際に使用する通学用自転車の場合、高校生までは、学校側などによる通学自転車に不備はないかの確認が行われることも考えられますが、大学生になると、20歳未満とはいえ自己責任という状況に置かれる可能性が高くなります。そのため、より一層の自転車運転のルールや無灯火などの違法性の認識に基づく運転常識向上を目指していきましょう。

7.まとめ

・自転車の灯火についても、道路交通法で規定がある。

・自転車の夜間(日没時から日出時まで)は灯火が義務である。

・前照灯は、点滅灯のみでは認められない。

・無灯火の場合、警察官の判断で5万円以下の罰金が科せられることがある。

・無灯火で事故の加害者・被害者になった場合、自転車側の過失責任は重く(不利に)なる。

・過失責任が重くなることに伴い損害賠償責任の金額も不利になってしまう。

・無灯火にて事故に関わることで、加害者、被害者のどちらの場合でも相手方と共に、人生を台無しにしかねない。

・これからは出来るだけLED型の常時灯火のライトを装備することが望ましい。

・「無灯火」で走行すると、交通事故の判断で不利になる。

・逆に、乗用車の運転手は「無灯火の自転車」に注意すべきである。

・ライトが故障した場合、最近は安価で入手できることも有り、早急に修理や取り換えを行う。