大学生になってマンションやアパートで一人暮らしを始めたという方も多いとは思います。また、実家から大学に通っているという方もいることでしょう。
どちらにせよ、直面する可能性がある問題として、隣人の騒音問題が挙げられます。
深夜になっても騒いでいるという隣人がいて、翌日朝から大学やバイトがあるのに眠れなかったらたまりません。
今回は、近くにうるさい隣人が住んでいた場合に、どのように対処すればいいのかということについて紹介します。
もくじ
1、生活騒音問題とは?

隣人がうるさいということだけでなく、その他の生活から発生する騒音のことを、生活騒音と呼びます。
そのため、騒音を完全に聞こえなくするといったことは難しい状況です。
そのような生活騒音問題ですが、東京都環境局によると、生活騒音は大きく5つに分けることが出来ます。
① 家庭用機器からの騒音
(冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、掃除機などの音)
② 家庭用設備、住宅構造面からの騒音
(空調機、バス・トイレの給排水、ドアの開閉音など)
③ 音響機器からの音
(ピアノ、ステレオ、テレビなどの音)
④ 生活行動に伴う音
(話し声・泣き声・笑い声、跳びはねる音など)
⑤ その他
出典:生活騒音 東京都環境局
多くの場合は、生活に伴って自然と発生してしまう騒音である一方で、一部に関しては騒音の軽減等も行うことができます。
2、騒音に関する規制とは?

あまりに隣人がうるさい!ということなどがあった場合に、何らかの規制等により騒音の発生源となっている住人等に注意や命令を行うことはできるのでしょうか。
以下では、騒音に関する規制等について紹介していきます。
工場や事業場等からでる騒音等に関しては、騒音規制法という法律により厳しく規制されています。
例えば、騒音が出る日時や騒音のレベルなどに関しての規制があり、届け出を提出した上で、工事等を行う必要があります。
一方、電気・ガス、音響機器などから発生する生活騒音については、人間の活動に伴って発生するものであり、日常生活を制限を加えることとなってしまうため、一律的な規制になじみにくい状況になっていると言えます。
そのため、多くの人が生活を営む上で、この生活騒音の被害者になったり、時には加害者になったりすることもあり得ます。
ただ、マンション等で居住者が円滑に生活をおくることができるようにするため、一定のルールを決めている組合などは、そのルールに則って生活する必要があるでしょう。
また、一律の規制が無いからと言って、騒いでいることが容認されるわけではなく、周囲の住民に著しく悪影響を与えた場合などには、損害賠償請求の対象となることがあります。
3、うるさい生活騒音が該当しうる規制とは?

生活騒音を規制することは、個人の生活を規制するという考えから、法律では生活騒音の規制値は設けられていません。
ただし、音の大きさや継続性により、受忍限度を超えるものであると判断された場合には、慰謝料を請求することができます。
この受忍限度を超えているかどうかを判断するためには、どれくらいの騒音でどれくらい継続されているかを計測する必要があります。
最近は、数千円でこういった計測機器を購入することもできますし、計測に必要な騒音計などを加下している自治体もあります。
隣人がうるさい場合には、こういった騒音計などで実際の騒音を計測した上で、以下のような方法で対処することをオススメします。
4、うるさい隣人の騒音に対処するには?

隣人が騒いでいてうるさい場合の対処法としては以下のようなものが考えられます。
それぞれの場合に関して、考えられるメリット・デメリットなども含めて紹介していきます。
・自分で静かにしてもらうように頼む
これは、最も早く相手にうるさいということを伝えることができる方法です。
一方、相手の住人とあまり話が通じないなどの場合には、トラブルに発展する可能性があるため注意しましょう。
また、こういったトラブルに発展した場合に、あなたが加害者となってしまうこともあるため、注意が必要です。
顔見知りであったり、日常で喋ったりできる関係で無い限りできるだけ避けた方がいいでしょう。
・大家さんや管理会社に連絡して注意してもらう
最初は、大家さんや管理会社に相談するのがいいでしょう。直接玄関に出向いて注意するよりもスムーズに解決に至る場合が多いです。
その際、自分がクレームを言っているということを伝えないでもらうようにしたほうが安全です。
・警察に連絡する
大家さんや管理会社に相談しても、なかなか騒音が収まらない場合には、警察に相談するというのも1つの手でしょう。
ただ、警察は民事不介入の原則により、当事者間に入って交渉してくれるというったことは珍しいでしょう。
また、警察をわざわざ呼ばれたということで恨みを買う場合もあるので注意が必要です。
・弁護士に相談する
騒音によって眠れないなどの健康被害が実際に出ている場合には、弁護士に相談してもいいでしょう。
もちろん、弁護士に相談すると費用がかかる場合が多いため、慰謝料が請求できそうな場合などには、弁護士に相談するのもありでしょう。
また、弁護士に相談すれば、どのようにすれば慰謝料が請求できるのかといったことも把握でき、法的な解決ができる場合もあります。
ただ、いきなり法的な訴えを起こすと相手側からあまり良くない印象を持たれかねないので、どうしても騒音を止めてもらえず困っている場合に、弁護士に相談するといいでしょう。
5、生活騒音に関する裁判事例2選

マンション上階の幼児による騒音について、下階住民からの慰謝料請求が認められた事例
この事例では、幼児の歩き回る音などの騒音について争った。
騒音の被害者は管理組合へ相談したり、騒音を出している住人との交渉を事前に行っていた。しかし、騒音の発生源となる住人は対応を拒否し、調停にも応じなかったため裁判に至った。
慰謝料と弁護士費用合わせて240万の請求に対して、社会生活上の受認限度をこえているとして、慰謝料30万と弁護士費用6万の支払いを命じたものである。
http://www.retio.or.jp/info/pdf/71/71_02.pdf
ローリング床変更による騒音被害等が不法行為にあたるとされた事例
この事例では、じゅうたん張りだったリビングの床をフローリングに張り替えたところ、生活音が下の階に響くようになり、慰謝料とじゅうたんへの戻すことを求めた。
フローリングの遮音性や管理組合への届け出がなかったことなどを含め、下の階の住人に受忍限度を超える不法行為であると認定された。
その結果、原告者2名に対して各75万円の慰謝料を払うように命じた。
http://m-kanri.biz/trouble/hanrei/hanrei-souon2.pdf
6、小括

いかがでしたでしょうか?個人の生活を制限するという理由から、生活騒音に関する具体的な規制は存在しません。
しかし、だからといって隣人の騒音に耐えていかなければいけないということではありません。
困ったときには、大家さんや管理会社に相談するなど自分から行動を起こして解決に導くようにしましょう!
7、まとめ
・生活騒音を規制することは、日常生活を規制することとなるため、生活騒音を規制する具体的な規制はない。
・隣人がうるさい場合には、まずは大家さんや管理会社に連絡を取り、問題の解決を試みる。
・当事者同士での解決が難しい場合には、弁護士に依頼するなどして解決を試みる。
・客観的に受忍限度を超えていると判断された場合、慰謝料を請求することができる。