無断駐車で10万円の罰金を請求された!どんな対応をすれば良いのか?

車で旅行などに出かける際に、困るのが駐車スペースですよね。観光地であれば駐車場も用意されていますが、そのキャパシティが小さく駐車すらできないということも多々あります。そこでつい無断駐車してしまい、罰金を課されることがあります。では、無断駐車ではどのような法律で罰則が設けられていて、全額支払う必要があるのでしょうか?

1,無断駐車で罰金を請求されたら支払う必要はあるのか?

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まずはじめに、無断駐車とはどのような適宜となっているのかについて説明すると、公道、または公有地、私有地に、その土地の所有者または管理者の同意がない状態で、またはその土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意がないままに、駐車すること、または、駐車状態を継続することを意味しています。

通常、無断駐車が多く発生するエリアにおいて、その土地の所有者が張り紙で「無断駐車禁止!罰金〇〇万円」と掲示していることがあります。

そのエリアに無断駐車して所有者に違反が発覚した場合、張り紙に記載されている金額を払う必要があるかどうかが争点となりますよね。

実質的には、この請求額を払う必要があるかと言われれば、一概に全額払う必要がないというのが見解です。一般的な解釈として、実際に発生した損害金額について弁償という意味で支払う必要がありますが、根拠のない「罰金〇〇万円」という金額を支払うことは必要とされていません。

また、次項で説明する公道における無断駐車の場合のみに罰金となるという点があります。

2,公道と私有地での取り締まりの違い

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車を運転していたり道路を歩いていると、頻繁に警察が無断駐車の取り締まりをを行っているシーンを見かけますよね。

取り締まりを行っているエリアを改めて振り返ってみると、どれも公道で行っていることがわかります。

実際に、法律上では無断駐車の取り締まりを行えるのは公道に限定されており、私有地の取り締まりは行える権限がありません。

では、公道と私有地の取り締まりの違いにはどのような点があるのでしょうか?

2-1、公道の取り締まり

公道においては、停車してはいけないエリアと駐車していけないエリアが存在しており、それぞれにルールが異なります。そこで、まずは駐車と停車の定義の違いについて知る必要があります。停車については、次のように定義付けられています。

1)他との衝突その他の危険を予防し、防止し、または危険を回避するため
2)行き違いのための待ち合わせなどのため
3)赤信号や一時停止の道路標識、踏切の直前において
4)道路外との出入りにおいて歩道や路側帯を横断する場合のその直前において
5)横断歩道・自転車横断帯やその手前の直前で駐停車している他の車両の側方を通過してその前方に出ようとする直前において
6)横断歩道・自転車横断帯、交差点、道路外との出入りや進路変更その他において、他の歩行者や優先車両等に対して
7)乗降中の路面電車の後方において
8)発進しようとする乗合自動車や、交差点での右左折または道路外に出るためあらかじめその場所の手前で進路変更しようとしている車両が、進路変更の合図を出している場合に譲るべき場合において
9)交差点の近傍で緊急自動車等に避譲するため
10)交差点等への進入および停止の禁止に従うため
11)歩道を通行している普通自転車または路側帯を通行している軽車両が歩行者に対して
身体障害者等、視聴覚障害者、老人、児童、幼児などが通行・横断中のため

これに該当せず車を停止する場合は、駐車ということになります。

次に、駐停車してはいけないエリアとしては、以下が該当します。

1)駐停車禁止の道路標識・道路標示により駐停車が禁止されている場所
2)交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
3)交差点の側端又は道路のまがりかどから5m以内の部分
4)横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に5m以内の部分
5)安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に10m以内の部分
6)路線バス・トロリーバス・路面電車の停留場等を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から10m以内の部分(当該停留場等に係る運行系統に属する乗合自動車・トロリーバス・路面電車の運行時間中に限る)
7)踏切の前後の側端からそれぞれ前後に10m以内の部分

最もわかりやすいエリアとして、「駐停車禁止」の標識がある場所がありますよね。他にも、時間制限駐車区間というエリアがあり、このエリアでは時間制限の中で駐停車することが可能です。但し、時間を超過して駐停車した場合は、違反の対象となるので注意してください。

駐停車の定義に該当してしまう場合、刑事罰が課されることになります。駐車禁止違反の罰則としては、「放置違反金」と「反則金」という2種類存在しています。取り締まりは、警察の他にも放置車両確認事務の業務を委託された駐車監視員が担当することもあります。

2-2、私有地の取り締まり

現行の日本の法律においては、私有地の無断駐車に直接的に罰則を適用できる法律というものが存在していません。ただ、直接的ではないものの適用できる法律があり、違反となる可能性があります。代表的なものとしては住居侵入罪です。

刑法第130条では、「住居侵入罪の客体に該当する土地内に無断駐車した場合」という定義があるため、適用される可能性が高まります。他では、私有地などに無断駐車したことにより、他人の正当な業務を妨害したと判断させる場合に、刑法第234条の業務妨害罪が適用されることもあります。

更に、住居侵入罪の客体に該当しないエリアであっても、無断駐車した場合で、土地の所有者または管理者が契約者以外の駐車或いは立入を明確に禁止しているにもかかわらず、許可なくその土地に侵入した場合、軽犯罪法第1条32号違反が適用される可能性があります。

ここまでは刑事罰について述べましたが、民事責任としても私道の不法占拠に対し、賃料相当額の損害賠償を認めたり日常的な精神的苦痛に対する損害賠償を認めた判例も存在しています。

3,無断駐車してしまったらいくら支払うのが適正なのか?

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無断駐車するケースとして、一つはどうしてもやむを得ない理由があって、違反とはわかりつつ駐車するケースと、その意識もなくただ無断駐車するケースがあります。

この事情は、迷惑を被った方にとっては全く関係のない話であり、罰金は請求されてしまいます。

例えば、自分が悪いという気持ちがある場合、罰金を支払いたいと考えたいものですが、その上で気になるのが適正な罰金額です。

民事責任という観点では、明確な法律もありませんので損害賠償も言い値となっているのが実情です。

ただ、何かの目安がないと損害賠償もなかなか決めにくいというところあるので、一般的に用いられるのが違反したエリアの周辺にある駐車場の駐車料金です。駐車料金は、あくまでも損しないレベルで最低金額を設定して、あとは金額を上げても利用者を確保できるレベルに設定するのが一般的です。

無断駐車の損害賠償においては、本来この駐車場に駐車する金額を支払わなかったと考えることができるので、損害賠償の根拠に使われるケースが多くあります。駐車場の場合、基本は駐車した時間に応じて「1時間〇〇円」という単位で料金が決まります。

無断駐車の場合は、駐車していた時間を把握するのは非常に難しいので、罰則を加味して概ね駐車料金の2~3倍程度の金額として請求されるのが一般的となっています。

仮にそれより高い額が請求された場合は、次項で説明する内容に従った対応が必要となります。

4,無断駐車して揉めてしまった場合には?

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私有地に無断駐車した場合の明確な罰則ルールがないために、場合によっては所有者との間でトラブルが発生するケースも多々あります。ここでは、具体的なトラブル事例と、その対処法について紹介しますが、どの事例においても発生した事実を証拠として残しておくことが重要になります。

4-1、罰金を支払わないと動かせない場合(ロックするなど)

私有地を所有している方にとって、最も合理的で言い逃れできない方法として採用されるのが、罰金を支払わないとその場から車を移動できないようにする方法です。頻繁に無断駐車されてしまうエリアであれば、その対応としてタイヤロックを用意していて、実際に無断駐車の車両を発見した時にロックをかけて、張り紙などでここまで連絡するように注意を受けることがあります。

一見すると合理的に見えるかもしれませんし、無断駐車した側にとっても受け入れざるを得ないと思ってしまうものです。ただ、この場合では話し合いに出向いてもすぐにロックを解除してもらえないとなると、今度はロックをかけた側が車をすぐに移動できない状態を作り出しているとして、損害賠償を請求することができる状態となります。

他にも、張り紙をフロントガラスなどにベッタリと貼り付けた場合、これによりフロントガラスが傷ついたりコーティングが剥がれるなどの被害がある場合は、器物損壊などにより損賠賠償を請求することができます。まずは、ロックをかけた本人と話し合いを行うことが重要です。

4-2、レッカーで移動させられた場合

タイヤをロックして無断駐車の車両をその場に留めておくだけならまだしも、強行手段として車自体をレッカー移動してその場から撤去するという手段を取る可能性もあります。

これは、公道の取り締まりなどで悪質な車両があった場合に取られる方策なので、一見すると致し方ないと思ってしまうかもしれませんが、何度も説明するように私有地における無断駐車の取り締まりルールはなく、レッカー移動も認められている行為ではありません。

もしレッカー移動されてしまった場合は、不法行為を受けたとして訴えるという方法もあります。また、レッカー移動時に車両に傷が付いた場合も、修理代を請求することが可能です。まずは、レッカー移動を命じた方と話し合いを行って処置を決定することになります。

4-3、職場や親戚などへの電話などされた場合

例えば、無断駐車した車両が社有車であって、社名などが車にプリントされていると、職場に無断駐車を行っているという苦情の電話が行くことも想定されます。また、ある程度顔見知りであった場合、親戚などに苦情の電話が入るというケースも見られます。

単なる苦情であれば致し方ない面がありますが、名誉毀損に該当するような言葉で苦情が行われた場合は話が別です。

まずは、電話を受けた先に事情をしっかりと話し、もし名誉毀損に該当するような内容があれば誤解を解くことが重要です。その後、電話をした本人に対してしっかりと説明するようにしましょう。

5,無断駐車した自分が損害を受けた時には…

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前項で紹介したとおり、無断駐車は確かに悪いことではあるのですが、過剰な対応により逆に自分が損害を受けてしまうということがあります。先の例で言えば、車をロックされてそのまま立ち往生してしまうとなると、損失以外のなにものでもありません!

まずは、発生した事実を積み上げて行く必要があります。例えば、何時から何時まで無断駐車してしまったか、その結果車がどのような状態となったか、多方面への電話連絡などにより情報が拡散されているかなどをチェックします。

その上で、私有地の所有者との話し合いを行います。事前にチェックした事実を明確に伝えた上で、損害賠償を支払うかどうか、逆に自分が受けた損害などについて損害賠償をするかどうかを整合していきます。

もし話し合いで決裂した場合は、民事裁判などで争っていくことになりますが、お互い労力をかけて行わなければならないことですので、なるべく話し合いで解決するように努力しましょう。

基本的なスタンスとしては、このトラブルのきっかけを作り上げたのは自分であることを忘れずに、誠意を尽くして対応することを忘れないようにしましょう。

6,無断駐車の場所によっては損害賠償が予想以上に膨らむことも!?

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無断駐車では、先に紹介したとおり周辺エリアにある駐車場の駐車料金に対して、2~3倍程度の損害賠償を払うというのが相場となっています。

私有地への無断駐車というと、例えば家の前に駐車されたり、所有している土地に勝手に駐車されるという事が考えられますが、実はコンビニエンスストアの駐車場も私有地に該当するのです。

実際に、コンビニエンスストアの駐車場には、「長時間の駐車や当店を利用しない方の駐車はご遠慮ください」と記載されている看板を多く見かけます。

この看板を無視して、まるで自分の家の駐車場のように頻繁にかつ長時間に渡って駐車していると、無断駐車で損賠賠償を請求される可能性があるのです。また、その場合の金額が予想以上に膨らむことがあります。

その最たる例として、大阪府茨木市のコンビニエンスストアの駐車場で実際に発生した損害賠償の事例が有名です。

このコンビニエンスストアにおいて、とある男性が日常的に無断駐車が行われていました。

その期間は2013年8月から2015年2月までのおよそ1年半と長期に渡っていました。実は、この男性は近くに住まいがあり、コンビニ駐車場の入口を車庫代わりに使用していたのです。

ここで一つの事実として、この男性はコンビニエンスストで特に買い物をするわけではなく、お客様とは言えない状態でした。

コンビニエンスストア側は、再三に渡って貼り紙などで注意喚起を促していましたが、男性は聞く耳を持つことはありませんでした。

逆に、あろうことか、さらにもう1台の車を無断駐車しはじめました。もう我慢の限界となったコンビニエンスストア側が、ついに民事裁判を起こしました。

この裁判において、2台で1万1167時間分の駐車料金として、車1台分を1時間700円で計算した額と、それにプラスして慰謝料と弁護士費用が加算されて、合計921万円の支払いを命じる判決が下りました。

この判決は、特にコンビニエンスストアなどの同業種の方にとっては、画期的な判決であったのは言うまでもありません。

特に、無断駐車された時間が短いケースであっても、証拠を積み上げて査定すれば少額であっても請求できるという道が開けたと言えます。

その一方で、コンビニエンスストアの利用者や近隣住民からは、これはやりすぎでは?という声が上がっているのも事実です。

ただ、駐車時間に明確な証拠があって、根拠ある損害賠償額があるので致し方ないという側面があります。

無断駐車する側としては、軽い気持ちで行っても思わぬ損害請求を受けてしまう可能性がある点に注意してください。他にも、損害を与える相手によっても、思わぬ損害賠償額となる可能性があります。

例えば、とても大きな売上があるお店や会社の前で無断駐車して、物流トラックを止めてしまったなどにより損害を与えた場合、想像以上の金額が想定されます。

7,モラルを守って車を駐車しよう!

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前項の例などにより、無断駐車が常態化すると思わぬ損害賠償を請求されてしまうケースがあります。また、短時間であっても根拠ある金額を請求されてしまう場合は、支払わなければならないものです。

ただ、その過程において車が傷ついてしまうというトラブルが発生した場合は、逆に損害賠償を請求できるケースもあります。確かに、自らが受けた損害を請求する権利は認められていますし、実際に受けた損害を請求することは悪いことではありません。

また、無断駐車の損害を請求された場合に、法令では明確な基準がないことを根拠として、徹底抗戦することも可能です。ただ、元々は自らまいた種であることを忘れてはなりません。自分が無断駐車しなければ、このようなトラブルが発生する事はありません!

また、今回紹介した対処法もあくまでも違法な請求を行われた時の対応方法紹介しているだけであり、無断駐車を推奨しているわけではありません。

もし自分が同様の違法駐車をされた立場になってみて、人が嫌がることをするというのは最低だと思いますよね。その点をしっかり意識して、モラルを守って駐車することが重要です。モラルは法律などとは別で、人間として生きていく上で欠かせない要素ですよ。

8、小括

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いかがでしたでしょうか?公道における無断駐車は明確な罰則規定があるのに対し、私有地の無断駐車においては何かと多くのトラブルが発生しているのが実情です。

仮に無断駐車してタイヤロックやレッカー移動などが行われ、それによって損害を受けた場合はしっかりと話し合った上で逆に請求することも重要です。

また、損害賠償については根拠ある数字をもって話し合い、なるべく話し合いの中で解決することも重要です。それ以前に、まずはモラルを持って行動し、無断駐車しないということも念頭におきましょう!

9、まとめ

・よく見られる「無断駐車の場合は罰金〇〇万円」というものに根拠はない
・公道には明確な罰則があるが、私有地では明確な罰則規則がない
・私有地で無断駐車した場合の損賠賠償の相場は周辺の駐車場料金の2~3倍
・無断駐車への対応において車を傷つけられるなどのトラブルが発生した場合は、逆に損害賠償を請求できることがある
・無断駐車するシチュエーションな期間に応じて、思わぬ損害賠償額となる可能性がある
・モラルを持って駐車することが重要である