掲示板・SNSで名誉毀損された!ネットでの誹謗中傷の消し方とは?

「偽善者」など、SNS上でひどい言葉で罵られて傷ついている人が後を絶ちませんよね!いつ自分の身に降りかかるかもしれない誹謗中傷に対して、立ち向かう手段として削除して貰う方法があります。では、どのようにしてSNS上の誹謗中傷を消してもらえばよいのでしょうか?ここでは、具体的な方法を紹介すると共に、名誉毀損に対しての対処法を伝授していきます。

1、そもそも名誉毀損とは?

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よく裁判の罪名として用いられてるものの一つに、「名誉毀損」という言葉があります。SNS上での誹謗中傷においても、名誉毀損につながる重大な事象が発生しているのが事実ですが、法律上で具体的にどのように定義つけられているかをまず知る必要があります。名誉毀損とは、正確には「他人の名誉を傷つける行為。損害賠償責任等を根拠づける不法行為となったり、犯罪として刑事罰の対象となったりする」と規定されています。人間には名誉と呼ばれる社会的に認められている、個人または集団の人格的価値があり、その名誉権を侵害する行為のことを名誉毀損に該当するのです。ただ、名誉毀損には次の4項目に対して該当する要因がない場合は、名誉毀損には当たらないと判断されてしまいます。

・真偽を確かめることができる内容であること

…名誉毀損において誹謗中傷の内容の真偽は問われることはありません。真偽を確かめることができるかどうかに重きが置かれることになる。

・公然の場で行われたものであること

…基本的に1対1の状態で罵られたとした場合、名誉毀損には該当しない。あくまでも公然の場において誹謗中傷を受ける場合に該当するが、公共の場としてネット上やSNSも不特定多数の人が確認できる場であるので該当することになる。

・対象が特定されていること(漠然とした対象ではないこと)

…具体的に個人名を上げて罵る場合が名誉毀損に該当する。例えば、「〇〇町のGさんが・・・」などの完全に個人が特定されない限りは名誉毀損にはならない。

・社会的評価を下げる内容であること

…例えば、「彼は性犯罪で捕まった経験がある」などの評判を落とす可能性のある情報を不特定多数に配信すると、名誉毀損となる。

この4つの条件が集結して、初めて名誉毀損として該当するというのは、些か厳しい気がしますよね。名誉毀損が認められた場合、刑法では以下のような罰則を設けています。

刑法 第230条

第一項:公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

第二項:死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

2、誹謗中傷による名誉毀損と侮辱の違い

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名誉毀損については4要件があり、それを全て満たした場合に初めて該当することになりますが、似たものとして侮辱という考え方があります。侮辱とは、事実を摘示することなく,公然と他人を侮辱することを言います。実は、名誉毀損と似ており、3つの要件に該当する場合に成立することになります。

・公然の場であること

・対象が特定できる内容であること

・社会的評価を下げる内容であること

先程の名誉毀損との違いとしては、「真偽を確かめることができる内容であること」という要件が侮辱には入っていませんよね。侮辱の要件としては、名誉毀損とは逆で「真偽を確かめることができない内容であること」が該当することになります。例えば、SNS上で「Gさんは根暗で付き合いが悪い」という内容を見つけた場合、「根暗」であったり「付き合いが悪い」という内容は、真偽の程を確かめる事ができません。特に、根暗というのは明確な基準がありませんし、これを立証するのは難しいものです。逆に「Gさんは過去交通事故で相手を怪我させた」という書き込みの場合は、事故履歴を調べれば真偽をはっきりさせることができるので、名誉毀損に該当します。侮辱でも、刑法においては以下のように罰則が定められています。

刑法 第231条

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

3、ネット上での誹謗中傷による被害例

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インターネットは、かつては一部の方のみが使用する、いわば閉鎖された環境で活用されてきました。大きく身近に普及し始めたのが1995年に誕生したWindows95によるところが大きいのです。また、電話回線ではなくADSLや光回線の普及により、常時接続が当たり前になりましたし、携帯電話でも気軽に利用できるようになったのも大きいですよね。インターネット上では、良い面でも悪い面でも匿名で様々な発言を行うことができます。これにより、「匿名なので誹謗中傷しても身バレしない」という安易な考えのもとに、誹謗中傷が繰り広げられているのが実情です。では、具体的にどのような誹謗中傷例があるのでしょうか?ここでは、過去実際にあった誹謗中傷の事例を紹介します。

3-1、実際に起こしていない犯罪を行ったと言われる

とある学校のサークルにおいて、メンバーが犯罪を犯し、それが新聞などで報道された。その後、犯罪には一切関わっていない同サークルに所属していたメンバーが、犯行グループの一員であるとネット上に書き込まれた。その内容は、コピー&ペーストされて様々な掲示板やSNSで拡散されて、名誉毀損された。

…学校単位などの大きな組織であればまだしも、具体的なサークル名が報道されたことで、そのメンバーであるだけで疑いの目を持たれてしまうことはよくあることです。勝手な拡大解釈によって被害を受けてしまったわけですが、コピー&ペーストした人も半分面白がって拡散しているというのも問題となります。このように、単独犯ではなく多くの人間が関わって誹謗中傷が行われる例が、増加しています。

3-2、殺す、などの脅しのフレーズにより脅かされる

ネット上で発生した総論が徐々にエスカレートしていき、最終的に怒りの沸点に達した相手が「おまえを殺す」と言った脅しのフレーズを使用してきた。

…友達同士で冗談で「殺す」などという不謹慎な言葉を使うシーンを見かけますが、不特定多数の方が見ている場で使うと、これが名誉毀損に該当することになります。また、他の例として有名人の殺害予告が書き込まれて、逮捕されるという事例も頻繁に見られます。

3-3,風評被害により売上が激減する

東日本大震災が発生し、福島第一原子力発電所の原発事故によって放出された放射性物質が、農作物や水産物に含有されている懸念が持ち上がった。信頼を回復するために福島県を始めとして様々な方法が取られ、有名人も福島県の食材は安全であることをアピールされていたが、「福島産だから放射性物質が含有されていて危険」という誹謗中傷が巻き起こり、売上回復に時間がかかった。また、今でもそのイメージを完全に払拭できているとは言えない状況が続いている。

…放射性物質は数値では現れるが目では見えないものであり、「本当に安全なのか」という疑念がわいて風評被害を大きく受けていました。発言者は軽い気持ちで書き込んだことでも、生産者にとっては大きな被害を被ることになります。

3-4、容姿や性格についての攻撃を受ける

SNSにおいてグループを形成し、グループ内で仲良くしていた時にふとしたことで仲間はずれとなってしまい、SNS上で性格や容姿に対して攻撃を受けて傷ついた。

…人間は群れをなすことが得意であり、また一つの標的に対して集団で攻撃する傾向もあり、正しくこの例が該当します。容姿は生まれつき決定する側面があるので、それに対して攻撃するということは行ってはいけないことですし、攻撃を受けた側は大きく傷つくものです。

3-5、大型ネット掲示板における誹謗中傷

日本生命は2001年、自社職員の肩書や実名を挙げて誹謗中傷する書き込みが頻発した「2ちゃんねる」に対し、書き込み削除を求める仮処分申請を行った。

…保険業界をテーマにした記載に対し、社員や会社を中傷しているということで削除依頼を行ったのに対し、2ちゃんねる側が対応せず放置したため、仮処分申請に至りました。2ちゃんねるはある程度自由に発言できる場であり、中には犯罪につながるような発言も見られました。ここでの問題として、発言の自由がどこまで認められているかという点がありますが、少なくとも個人の実名をあげて誹謗中傷するのは名誉毀損に該当することになります。

4、ネット上の誹謗中傷、どんな罪に当たるの?

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様々な誹謗中傷の例を紹介してきましたが、対面で誹謗中傷するのとネット上で巻き起こった場合で、その罪はどのように変化するものなのでしょうか?それを語る上で、「表現の自由」について知る必要があります。表現の自由は日本国憲法で以下のように定められています。

日本国憲法 第21条

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

集会の自由や結社の自由についても、表現の自由に類するものとして保障されていることになります。表現の形として、インターネット上でSNSや掲示板などで発言することも表現の一つとして捉えることが可能です。表現の自由とひとくくりになっていますが、実は2つの価値があることで知られています。1つは自分の精神を外部に向かって表現することで自己実現をする価値、もう1つは表現をすることにより政治的な意思決定に関わることができる自己統治の価値があります。このように、表現の自由は何事にも認められる権利のように思えますが、実際には無制限ではなくある程度の制限は発生します。その制限のもととなるのが、プライバシー権です。プライバシー権とは、個人の私生活に関する情報をみだりに開示することができない権利のことを指します。同時に、名誉権とも深く関連していくことになります。以上から、インターネット上での誹謗中傷についても、同様に刑法230条の名誉毀損罪、刑法231条の侮辱罪が適用されることになりますし、他にも刑法233条の信用毀損罪と業務妨害罪に該当することもあります。

刑法233条 信用毀損罪と業務妨害罪

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

…虚偽の風説をネット上に流すことによって、罪に問われる事になります。風説とは、端的に言えば噂のことであり、これが嘘であると罪に問われる対象となります。流布とは、不特定多数に対して広めることを指し、インターネット上での書き込みなども該当します。威力業務妨害罪とは、業務を妨害されたことによって損失が発生した場合に適用されます。例えば、風評被害によってお客様が激減したお店があったとすると、損失が発生したことになり風評を流布したものに対して訴えることができます。

 

5、ネット上で誹謗中傷された場合の対処法

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では、実際にネット上で誹謗中傷をされた時に、どのように対処していけばよいのでしょうか?ここでは、対処するステップを紹介していきます。

5-1、自分で対処する

自分で全ての誹謗中傷に対して対処する方法があります。誹謗中傷の書き込みを見つけた場合、まずはその証拠を残すことから始めてください。ログを残すのも有効的ですが、最も簡単な方法として画面のスクリーンショットを撮影して残しておく方法があります。この際に、時系列などを明らかにするために日付も残すようにしてください。証拠を残したら、それ以上の被害拡大を防ぐためにも書き込みの削除します。自分では削除できないものですので、書き込みがあるサイトの運営に対して削除依頼を請求しましょう。大きなサイトであれば、必ずと言っていいほど問い合わせフォームが用意されていますので、必要事項を記入して申請します。この際に、理由も明記して申請すると良いでしょう。通常は削除依頼に応じて削除していただけますが、表現の自由の関連もあり削除してもらえない場合もあります。その場合は、裁判所に出向いて削除依頼の仮処分申立を行う必要があります。書き込みされている期間が長いほど被害が拡大する傾向がありますので、早急に対応することが重要です。その後、誰が書き込んだものかを調査してもらい、根本原因を探っていきます。

5-2、警察に相談する

誹謗中傷だけならまだしも、脅迫を受けた場合は最悪の場合は身の危険にも及ぶ可能性があります。その場合は、まずは警察に相談する必要もあります。警察側としても、単なる誹謗中傷だけなら事件性が低いと判断する傾向がありますが、脅迫の場合は事件性が高く対応も期待できます。

5-3、弁護士を依頼する

単純に誹謗中傷の削除までを担当するなら個人でも行えますが、慰謝料を請求する場合は弁護士に依頼しなければなりません。まずは、投稿者に対して書面でのやりとりから交渉をスタートさせます。書面には弁護士の名前も記載されていますので、受領した側にとっては大きなインパクトを感じます。これにより、慰謝料の請求に応じやすくさせることができます。もし、これでも慰謝料交渉がうまくいかない場合は、損害賠償請求訴訟を提起します。この手続等は、弁護士に相談しながら進めていくことになります。

6、ネットで誹謗中傷された際の慰謝料ってどう計算するの?

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慰謝料請求は基本的に弁護士に依頼して進めていくことになりますが、気になるのがどの程度まで慰謝料として請求できるかどうかです。ここでは、過去の判例を基にして解説していきます。

6-1、「石器捏造」の被害者遺族に600万円(平成15年)

週刊文春が、発掘した石器に疑惑があるという記事を公開したが、これにより調査責任者が自殺した。遺族が慰謝料請求をした裁判が行われて、名誉棄損を理由に損害賠償600万円が認められた。

…一人の尊い命を奪った事象となり、金額も高いものとなっています。

6-2、著作権管理団体に500万円

週刊ダイヤモンドに対し、「裏付け取材や証拠がない記事が社会的評価を低下させる」として、名誉棄損が認められた。

…週刊誌では頻繁に名誉毀損の裁判が行われており、大きな慰謝料に発展するケースが多く見られます。

6-3. 保険医による行政へ30万円

厚生省がホームページ内に保険医の登録免許処分の情報を掲載し続けた。厚生労働省は、この保険医の免許が登録可能になった後も免許処分の情報の掲載を続けていたが、名誉毀損に該当すると判断され、保険医は行政へ損害賠償請求を申し立て裁判となり、国から歯科医師へ30万円の慰謝料を支払う判決が下された。

…国が名誉毀損を行っている事例としてよく知られている判例です。

6-4、隣人トラブルにより10万円

近隣トラブルが発生し、防犯カメラで監視しその内容をホームページに掲載されたことにより訴えが起こり、プライバシーの侵害などが認められて10万円の慰謝料が認められた。

…これは個人同士のトラブルにより発生したものです。名誉毀損だけでなくプライバシーの侵害もセットになって判決されることも多々ありますが、個人同士では残念ながら慰謝料としては低くなる傾向があります。

6-5、告訴状提出内容がブログに流出して150万円

告訴状提出内容がブログに流出し、殺人罪を疑うようなコメントが記載されていた。本件告訴が殺人罪などの嫌疑となる客観的根拠が認められず、150万円の慰謝料が認められた。

…この判決のように、まるで犯罪者のような扱いを受けて名誉毀損で裁判になるケースが頻繁に見られます。

7、手続きにかかる費用は?

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実際に名誉毀損で慰謝料請求するために弁護士に依頼した場合、当然費用を支払って対応してもらうことになります。まず、書き込みしたものを特定することも弁護士に依頼するのと、自分で特定する場合で費用が異なります。更に単純に慰謝料請求してそのまま応じてもらえることもありますし、裁判にまで発展することもあります。各々でどれだけ費用が異なってくるのでしょうか?

7-1、書き込みした者を特定したい場合

書き込みした者を特定したい場合、まずはIPアドレスなどの発信者情報の開示請求を行います。その後、通信事業会社に対して投稿者の氏名や住所などの開示請求を行います。

書き込みの件数や裁判を起こす件数によって、費用が変わってきます。また、掲示板の運営者が海外の会社である場合などには、通常よりも高額な費用がかかります。国内のケースの場合、総額で50~100万円程度がかかることが多いようです。これだけで開示が成功する場合は、着手金として10~20万円程度、報酬金として10~20万円程度の費用が発生します。また、仮に裁判によって開示請求を行う場合は、着手金として20~30万円程度、報酬金は15~20万円程度、更に裁判費用の実費として6万円程度の費用が必要となります。

7-2、損害賠償請求する場合

相手が特定されたら、実際に相手に対して損害賠償請求を行います。こちらも、裁判があるかないかで費用的に大きく異なってきます。裁判をせずに請求が認められる場合は、着手金が10~20万円程度、報酬金は慰謝料の16%程度が必要になります。裁判を行った場合の費用は、着手金が20~30万円程度、報酬金は慰謝料の16%程度、裁判費用の実費として3万円程度となっています。

8、小括

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いかがでしたでしょうか?ネットでの誹謗中傷被害は年々増加していることもあり、いつ自分の身に降りかかるか分かりません。もし被害にあった場合は、まずは書き込みの証拠を残して、削除してもらうことを優先にして、慰謝料請求を行うようにしてください。早く動けば動くほど、被害を最小限に食い止めることができますよ。

9、まとめ

・名誉毀損とは他人の名誉を傷つける行為のことを言う

・ネット上の誹謗中傷としては名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪などの罪に問われる可能性がある

・誹謗中傷された際には、まずは証拠を残して書き込みを削除する

・脅迫をされた場合は警察にも相談、その後弁護士に依頼して慰謝料を請求する

・手続きにかかる費用は書き込みした者を特定する費用、慰謝料を請求する費用が必要