法学部は銀行への就職に有利なのか? / 進路から就活のポイントまで

法学部というと、一般的には、弁護士や裁判官など、法曹関係の職を目指す、というイメージがつきまといます。

しかし、多くの大学の法学部で進路のNo.1を占めているのが、銀行を始めとした金融機関なのです。法学部と金融機関は、考えただけではすぐにイメージできる組み合わせではありません。

なぜ、法学部出身者の多くが銀行を始めとした金融機関を進路に選ぶのでしょうか。

法学部の卒業生の進路は?

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法学部といえば、法律、法律と言えば、弁護士・裁判官・検察官の「法曹三者」とすぐに考えてしまいがちです。

しかし、法学部の卒業生の中で、法曹三者を目指す人は、半数にも満ちません。多くの大学の法学部出身者の過半数は、一般企業に就職します。

例えば日本トップの法学部である東大の法学部でも、法科大学院に進学する人の割合は、中央省庁への就職に次ぐ二番手、大半の私立大学では、全体の2割にも達しません。

法学部出身者であっても必ずしも法律関係の職業を目指すのではなく、むしろ一般企業や公務員の職に就く人のほうが多数派なのです。

そして多くの大学の法学部で、就職先のトップに輝くことが多いのが、銀行です。

例えば、京都大学、慶応大学、中央大学など、名だたる国立・私立大学であっても、金融機関が就職先の1位に君臨しています。

なぜ銀行に法学部出身者が多いのか?

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なぜ、法学部出身者に銀行へ就職する人が多いのでしょうか?

これは、法学部の学生が、銀行での仕事に必要な「調整力」を身につけることができるためだと言われています。

銀行の仕事は、預金の預かりだけではなく、融資や金融商品の販売など、お金にまつわることすべてに関わります。

そこでは、必ず、お金に関わる関係者の間に立って利害を調整する役割が求められます。銀行員は、まさにこの「調整役」のポジションにあたります。

法学部の学生は、法律をツールとして、関係者の利害を切り分け、調整する力を講義や学問の中で身につけている傾向にあり、銀行の仕事に求められる能力と自身の力が合致していることが多いのです。

そのため、就職活動時に、銀行の人事担当者から能力を認められ、銀行への就職を勝ち取る卒業生が多いと考えられます。

法学部は銀行就職に有利?

では、法学部に行けば、必ず、銀行へ就職できる力を身につけることができるでしょうか?

結論から言えばこれは、自分の実力次第です。

もちろん法学部の学生は、他の学部に比べ、ものごとのバランスを考えながら議論を進める、関係者の利害を考えながら調整を量る、という訓練をする機会に恵まれています。

また、卒業生が多く銀行に就職しているため、大学・学部としての実績においても、他の学部の学生よりも優位な状況にあると言えます。

ただし、銀行は、安定した職業・高収入というイメージがついており、常に就職ランキングの上位に位置する人気の職業です。

法学部出身だからといって、自動的に銀行への門が開かれるわけではなく、結局は、エントリーシートや面接などで、自分の経験や思いを伝え、「この人なら弊行(銀行が自社を呼ぶ呼称)で働ける」と思ってもらえるかが勝負の分かれ目になります。

当たり前ではありますが、考える機会に恵まれているという土台を活かし、しっかりと思考の訓練や経験を積むことが就職への第一歩になります。

銀行就職を目指すポイントは?

それでは、法学部の学生が銀行就職を目指すには、具体的にどのようなことをすべきでしょうか。

最も有効的な手段は、OB・OG訪問です。

大前提として、日常の学問や生活の中で、考える力・調整力を養い続ける必要はありますが、就職活動においては、志望する企業の情報を集め、その企業の関係者とつながりを持ち、多くの情報を集めることが必要となります。

もちろん就職サイトや会社説明会でも情報は集められますが、良い面ばかりが前に押し出されてしまうため、実際の企業の仕事に実態や本当に求めている人物像に近づくことが難しい場合があります。

そんな時に有効なのが、同じ大学の卒業生を頼って、実際にその企業で働く人を訪問するOB・OG訪問です。

OB・OG訪問は、企業自体が、就活生と企業とのギャップを埋めるために積極的に実施している場合もあれば、大学の就職課で、協力してくれる卒業生を斡旋してくれる場合もあります。

ゼミやサークルに所属している場合、そこの出身者を頼るのも良い手段です。

OB・OG訪問によって、銀行の仕事のリアルな状況を聞くこともできますし、就職面接や必要な人材についての実態をつかむこともできます。また、OB・OG訪問に積極的な企業の場合、OB・OGが人事に接触した学生の情報を共有してくれ、エントリー前の事前インプットができるケースもあります。

法学部は、OB・OGが多数銀行に就職しているため、こうした点でも、銀行就職のための就職活動を進めるうえでは、他学部に比べて有利であると言えます。

まとめ

法学部は、法律関係の仕事を目指す場所、というイメージがついて回りますが、決してそうではなく、大半の学生が一般企業に就職します。その中でも、銀行は、多くの大学で、就職先の1位を占めています。

法学部は、銀行の求める「調整力」を学ぶ機会に恵まれているため、日常的に学問を通じて訓練を積めば、銀行就職に必要な力を養うことができます。

また、OB・OGの中に銀行へ就職した人も多いため、OB・OG訪問で銀行の情報を集めることも、他の学部よりやりやすい状態にあると言えます。

一見関係のなさそうな法学部と銀行は、仕事に必要な「調整力」という共通項で、非常に親しい関係にあるのです。