「消えた年金問題」が話題になって、その対策の一環で、マイナンバー制度が考案され、行政の各機関の情報横断のシステム実行の議論が始まったのが平成19年です。
それから約9年後、やっとマイナンバー制度施行となったのは、平成28年1月です。
さまざまなデータが登録されたICチップが組み込まれた写真付きのマイナンバーカードの導入申請も同時に始まりました。
その後、申請者のマイナンバーカードの配布まで約半年、マイナンバーカードを使って、さまざまな行政手続きが便利になる仕組みが、全国の市区町村に導入されるまで、約1~2年。
今ではまだ一部ですが、コンビニでも行政書類の入手ができるようになりました。
しかし、便利なはずのマイナンバーカードの普及率は、マイナンバー制度開始後2年も経っているというのに、何とまだ約10%ほどだといいます。
今や、行政手続きでは欠かせないマイナンバー、例え短期のアルバイトでも賃金得るには、会社がマイナンバーを求めてくる時代です。
でも、さまざまな個人情報管理に利用されているマイナンバーを、正社員ならまだしも、アルバイト先に提出するのは、多大な個人情報を提出するようで不安に思う学生が多いのも実情です。
マイナンバーは、アルバイト先に提出する義務はどの程度あるのか、それに違反したら罰則があるのか、そもそもマイナンバーは何なのか、この記事では、そんなマイナンバーの不透明部分がクリアになるように解説していきます。
もくじ
1、そもそもマイナンバーって何?

(1)マイナンバーとは?
マイナンバーとは、日本に住民票を持つ全ての国民につく12桁の番号のことです。
アメリカ映画で、「個人ID」でFBIがさまざまな情報を得ているのを見たことがありませんか?
その日本版が「マイナンバー」といっても過言ではありません。
まだ、アメリカほど多くの情報がマイナンバーカードに登録されているわけではなく、そのマイナンバーカードの普及もまだまだです。
行政が管理するさまざまな個人情報を、マイナンバーで個人認証して、統括管理で統一管理しようとしているにすぎません。
しかし政府は、いずれはアメリカの「個人ID」並の活用や普及を目標に、さまざまな可能性を政府案として打ち出しています。
そして、アメリカの個人IDのように、日本のマイナンバーも、原則として一生変ることはありません。
では、日本におけるマイナンバーが活躍するデータベースについて解説します。
日本政府が推し進めるマイナンバーは、主に税・社会保障、災害対策の3分野において、行政の情報を同一人物の情報である事を認証するマイナンバーとして、スムーズに確認することができます。
マイナンバーが生まれる前まで、確定申告や基礎年金番号や健康保険被保険者番号、住民票コード等、行政の各機関によって、それぞれ個人を特定する別々の番号が設定されていました。
そのため、複数の機関に用事がある場合は、それぞれの機関が必要とする個人確認番号、そして免許証等の身分証を持参しなければなりませんでした。
しかし、マイナンバー制度が導入されてからは、マイナンバー通知カードやマイナンバーカードを提示し、マイナンバーを記載するだけで、行政が必要データを紹介してくれます。
そのため、マイナンバーだけで個人の情報をスムーズに確認することができるようになったのです。
このように、マイナンバーは行政のオンライン情報の横断化を可能にしたお陰で、行政の事務処理も、国民が君日する申請書類も簡素化されました。
さらに、確定申告や源泉徴収にマイナンバーを記入することで、所得データのオンライン上の横断が可能となり、所得と社会保障のデータが紐付けできるようになりました。
行政側としては、今までよりも一層きめ細やかで公平な社会保障制度を、国民のために提供できるシステムが実現可能となった事になります。
そうはいっても、まだまだ国民への給付に関しては、自己申請が基本です。
日本では、消えた年金問題や行政のさまざまな情報漏洩等の記憶も新しく、マイナンバー導入時、さまざまな個人情報のリスクを懸念したメディアの放送がたくさんありました。
その結果、マイナンバーのリスクばかりが表面化し、マイナンバーの価値がイマイチ国民に普及していないのです。
そこが、メディアであまり詳しく報道されていません。
また、先述しましたが、マイナンバーは一生変らない12桁の番号です。
マイナンバーカードが盗まれ、悪用される危険性が高い等、何か差し迫った重要なリスクが考えられる場合でない限り、一生変更できない個人を特定する番号なのです。
だから、紛失したり、盗難に遭ったりしないように慎重に管理が必要ですから、カードを作り勇気を持つ人が少ないのかもしれません。
しかし、クレジットカードやキャッシュカードも慎重に管理されているものですが、それらを作ることに不安を感じる人はいません。
何処が違うのでしょう。
それは、クレジットやキャッシュカードは、紛失や盗難に遭ったら電話一本でカードを止められますが、マイナンバーはそうはいきません。
そのため、不安にもう人も多いのかもしれません。
しかし、それはマイナンバーのことがよくわかっていないからです。
しかし、マイナンバーは、税・社会保障・災害対策のために、国や地方公共団体、勤務先、金融機関、年金・医療保険者などに提供する事がまず考えられます。
しかし、マイナンバーの提供を受けたこれらの機関・組織・団体・企業等は、マイナンバー法で定められた目的以外にマイナンバーを利用することは違法とされています。
マイナンバーは、国民の個人情報が主役されますので、その悪用を防ぐために細かく法で定められているのです。
また、マイナンバーは、クレジットカードやキャッシュカードのように、共通データベースに、さまざまな機関が全ての情報を共有できるようなシステム(一元管理)のではないので、その番号だけで本人に成りすましてあらゆることができるわけではないのです。
マイナンバーに登録されている行政の個人情報は、今まで通りに、各省庁・地方自治体・各機関がそれぞれ厳重に管理し、マイナンバー法の下記図で定められたとおり、分散管理されています。
つまり、各省庁等の個人データが、各省庁統一の個人番号(マイナンバー)で統一されたに過ぎないのです。
情報ネットワークシステムを利用して、各省庁間等で、さまざまな情報のやり取りができるものとなっただけなのです。
【参考】マイナンバー制度における情報連携について:「個人情報管理について」|総務省(PDF)
例えば、年末調整や確定申告でマイナンバーの記入が義務づけられるようになりました。
その情報が、社会保険や医療保険・生命保険、年金などの手続きにも使われます。
それぞれの情報のやり取りが、マイナンバーだけで、個人認証ができ、スムーズに各機関同士で情報のやり取りができるというわけです。
各機関が、勝手に他機関の情報にアクセスできる一元管理ではないことを理解しましょう。
(2)マイナンバーカードを使ってできることとは?
マイナンバーを国民側が有効利用するには、マイナンバーカードを作る必要があります。
① 身分証明
ICチップの埋め込まれた写真付きのマイナンバーカードは、自動車免許証を持たない人の身分証にもなります。
身分証としては、パスポートや免許証と同じ威力です。
② コンビニでの書類交付
また、ICチップの中には、さまざまな行政データが登録されているので、コンビニでも住民票や印鑑証明、戸籍証明等が交付可能となりました。
自治体によってコンビニへの導入スピードがさまざまですが、将来的には下記データが全て対応可能になる予定です。
・ 住民票の写し
・ 印鑑登録証明書
・ 住民票記載事項証明書
・ 各種税証明書
・ 戸籍証明書
・ 戸籍の附票の写し
導入して2年しか経っていないので、残念ながら、コンビニでの導入がまだまだ一部市町村や一部店舗に限られているのが現状です。
将来的には、どんな山奥のコンビニでも、上記書類の交付が可能となることを、政府は目指しています。
③ 確定申告
確定申告の電子申請(現在のe-Tax)もマイナンバーカードが利用できます。
ただし、パソコン・タブレットにソフトウェアをインストールし、ICカードリーダーなどのマイナンバーカードに登録されたデータを読み取るシステムの準備が必要となります。
最初はこのような手続きが必要ですが、一度準備してしまえば、後は簡単です。
2019年には、この煩雑な準備も2021年までの期間限定の暫定処置ですが、不必要となり、税務署でIDとパスワードを発行してもらったら、スマホで電子申請が可能となります。
この暫定処置は、マイナンバーカードの電子申請のシステム導入の準備期間のためのものといわれていて、この便利さを体感したら、マイナンバーカードでの電子申請の導入のお試しのような物で、電子申請の便利さを知ってもらうためのようなものです。
昔からあるe-Taxと、マイナンバーカードの電子申請、スマホの電子申請は、どのような違いがあるのかは下図を参照下さい。
参考:平成31年1月以降のe-Tax利用のイメージ|e-Tax
また、e-Taxとスマホの電子申請は確定申告だけにしか利用できませんが、マイナンバーカードの電子申請は、さまざまな電子署名にも利用可能です。
④ 2019年導入開始 マイナポータル
また、来年7月に「マイナポータル」というポータブルサイトが運用開始となりますので、自分の情報を何処で利用されたかの情報閲覧の足跡を見ることができるようになります。
マイナポータルのサイトにマイナンバーとパスワードを登録すれば、オンライン上でさまざまな申請手続きが可能になります。
今わかっている限りでは、以下の通りです。
・児童手当
・予防接種の申し込み
・認可保育園の入所申し込み
このような子育て関係の申請手続きがまずは第一弾です。
結婚や出産でなかなか外出できない子育て中の女性が、便利に使える手続きが優先されているようです。
将来的には、引っ越しのさまざまな異動届、就職や失業の国保や年金の手続き等も、わざわざ行政の窓口に出向かなくても可能になる予定です。
また、いつ実現するのか、本当に実現されるのかは未定ですが、来年4月から消費税10%が実施されたときに、食料品に関しては、「マイナンバーカードを電子マネー化したり、マイナンバーカードをかざすだけで、ポイントで消費税の還元をする」という政府の案も出ています。
これはマイナンバーカード普及の目的でもあるようです。
しかし、各店舗のシステム導入の協力も必要ですし、情報漏洩対策についても不透明であり、どのような還元システムにするのか、まだまだ課題がたくさんあり、実現可能の目処は立っていません。
とにかく、政府は、「消えた年金問題」や各省庁等の情報漏洩問題による信用失墜から、マイナンバーカードの個人情報漏洩のリスクを懸念する国民を納得させる政策をまだとれていないのが現状なのです。
2、アルバイト先にマイナンバーを提出する必要性とは?

先述しましたように、所得データを明確にして、税や社会保障に繁栄させるということは、確定申告だけでなく、アルバイトや会社の給与の税金申告にも個人のマイナンバーが必要となっています。
会社の年末調整は、個人の税を確定する所得情報として重要です。
そのため、会社の経理手続き上、マイナンバーデータは年末調整には必要不可となります。
そこで、会社はマイナンバーの提出を全社員に求めるでしょう。
それは、たとえどんなに短期のパートやアルバイトでも賃金を払う場合は、税務上、賃金を支払った相手のマイナンバーを賃金台帳に記帳しなければなりません。
賃金だけではありません。
労働・社会保険諸法令の全ての手続き(社会保険や厚生年金、雇用保険等)、児童手当や税金関係の手続き等々、会社の労働者に関する法で定められた全ての届け出にマイナンバーが必要となり、マイナンバー記入が義務化されます。
だから、アルバイトだからといってマイナンバーの漏洩や悪用を恐れて、マイナンバーカードやマイナンバー通知カードの提出を拒むことは、会社の手続きを滞らせ、会社を困らせる嫌がらせをしているようものです。
それ以上に、そこまで信用できない会社でアルバイトをすることを控えるべきなのです。
会社がアルバイトのマイナンバーを悪用したら、会社には刑罰が課されますので、普通はそのような悪用はされません。
マイナンバーの漏洩も、そのようなことが合った場合、会社は社会的に信用失墜となり、倒産に追い込まれますので、会社としても、そのようなことがないよう細心の注意を払っているのです。
3、アルバイト先からマイナンバーを提出するように言われたら

もし、あなたがアルバイトをしている会社で、マイナンバー提出の拒否をした場合、会社はマイナンバー記載が無い書類で、さまざまな手続きをしなければなりません。
原則、賃金や労働・社会保険諸法令の手続きをするには、マイナンバー記載が義務化されています。
だから、日本国内に住民票を持っているアルバイトのマイナンバーの無い手続きは、法律違反なのです。
つまり、会社はマイナンバーを記載できない場合は、法違反をしているわけでは無い主張をするために、それがアルバイトであってもマイナンバー記載ができない正当な理由を述べて、会社が義務違反をしているわけではないことを行政に証明しなければならなくなります。
しかし、正当な理由とは、「日本に住民票を持たない人だから」くらいです。
「本人がマイナンバーを提出してくれません」は正当な理由ではないのです。
手続きでの不具合を具体的にいうと、以下のようなことになります。
会社がアルバイトのために必要な手続きをしようとしたときに、「マイナンバーの記載がないですよ」と行政の窓口で書類を突き返されるわけです。
電子申請をしたとしたら、書類不備で書類が返ってきます。
それでも、労働・社会保険諸法令によるアルバイトの手続きを、会社はしないわけにはいきません。
だから、手続きを完工するためにも、会社がマイナンバー記載義務に違反しているのではなく、「本人が提出を拒んだからどうにもならない」と主張するしかありません。
しかし、行政は、免許証の提示と同じくらい、マイナンバーの提示は国民の当然の義務と考えています。
だから、会社が「アルバイトの本人がマイナンバーを提出してくれません」と主張するくらいでは、「では説得して下さい」と書類を突き返され、手続きして貰えません。
つまり、アルバイトがマイナンバー提出を拒んだとしても、会社は何度でも提出を求めてきます。
会社としては、そうするしかないのです。
このように、会社側では法令で定められた義務で記帳義務違反という罰則もあるのに、アルバイト側がマイナンバー提出を拒んだからといって、アルバイト側には罰則が無いのです。
先にも述べましたが、行政は、免許証や基礎年金番号、雇用保険番号等を提出するのが当たり前であるように、「マイナンバーカードの提出を拒む人はいない」という常識があるのです。
つまり、マイナンバー提出によって、その情報漏洩を不安に思うアルバイトが、その提出を拒むことが想定されておらず、何の罰則もないので、会社は困るわけです。
このように、マイナンバー提出拒否は、会社にとっては嫌がらせ以外の何物でも無いので、マイナンバーを会社に求められたら、素直に提出した方が自分のためだといえるでしょう。
4、マイナンバーをアルバイト先に提出しなかった場合には?

何度も行っていますが、会社側は、従業員を雇用したときに、雇用保険、社会保険等手続き、賃金台帳への記載等、あらゆる手続きシーンで記載義務が生じてきます。
だから、会社側はそれらの手続きに必要なマイナンバーを提出するよう、採用したら事務手続き(基礎年金番号や雇用保険被保険者証、住所、通勤経路等)と一緒にマイナンバーの記載も求めてくるでしょう。
マイナンバーの記載義務は、労働・社会諸法令で定められたあらゆる手続きに必須記載事項となります。
しかし、マイナンバーを個人情報だからといって提出しなかったとしても、会社を困らせるだけで、アルバイトである労働者に法的な罰則はありません。
ただ、会社の事務手続きを滞らせる意地悪をしているだけとなります。
会社は、先に書いたように、マイナンバーが記載できない事情を、アルバイトのさまざまな手続きだけでなく、税務監査や労働監査の時にも、法違反をしているわけではない正当な理由をその証拠とともに、主張しなければ、会社が法違反をしている事になるのです。
そして、正当な理由に「アルバイトがマイナンバーを提出してくれない」という事例は含まれていません。
会社が再三努力した結果、どうしてもアルバイトが提出しない場合、例外的に他の方法で手続きすることも不可能ではありませんが、「再三の要請をしたにも拘らず、どうしても、断固としてアルバイトがマイナンバーを提出してくれない」という事実を行政に信じて貰えるまで、会社はがんばらなければなりません。
「正当な理由無く」帳簿を法律に従ってきちんと作成していないだけで、労働・社会保険諸法令違反として罰則が適用されるからです。
そこにひっかからないために、マイナンバー記載が無い事に対し、「正当な理由」を行政が認めてくれるまで証拠を示さなければなりません。
マイナンバーがあればすぐに済む手続きも、マイナンバーがないために、事務手続きが滞り、会社の努力の結果、マイナンバー無しの特例が認められたとしても、本人確認のために、偏屈なたった1人のアルバイトのために、たくさんの添付書類が必要となります。
わざわざこんな面倒をさせられるのですから、会社側の印象が悪くなることは明白でしょう。
また、「マイナンバーを提出できない、何か都合の悪いことがあるのではないか?」と疑惑を抱くかもしれません。
また、あなたが「個人情報だ!悪用されるかもしれない」と言い張れば、あなたの賃金や労働・社会諸法令の必要な手続きをしている真面目な社員に対し、マイナンバーを悪用すると疑っているようなものです。
マイナンバーの悪用が絶対ないとは言い切れませんが、行政はそのようなことがないよう会社を指導しています。
悪用して本人に成りすました場合、詐欺罪に問われますし、情報漏洩が起った場合は、会社として社会的な信用が失われますから、普通はそのようなことは起こりえないのです。
そのようなことを言い始めたら、基礎年金番号や誕生日や住所等のさまざまな情報も悪用される可能性があります。
疑いだしたらキリがありません。
それどころか、あなたは会社から偏屈なクレイマー扱いされてしまうかもしれません。
あまりにも言い張った場合は、会社の業務を滞らせるからと、退職を余儀なくされる可能性もあります。
わざわざ、自分をそのような苦境に陥らせる必要はないのではないかと思います。
5、アルバイト先にマイナンバーを提出する方法

給料を払っている以上、会社はマイナンバーが必要となります。
一般的に番号だけでなく、通知カードならその他身分証明書、マイナンバーカードならマイナンバーカードの提示を求めてくるでしょう。
会社に原本を提示するのは本人確認のためで、本人確認のため、免許証等の原本の提示を求めるのと同じです。
そのコピーの提出を求めるのは、会社側の事務手続きのマイナンバーの記載ミスを無くすためのものです。
何か書類上の不備があった場合に、マイナンバーの記載ミスを確認するためにも、コピーは必要となります。
また、行政側から、提示確認の証拠として、あるいは確認のために、マイナンバー通知カード、あるいはマイナンバーカードのコピーを求められることもあります。
会社側としては、何かあったときのために、そして一度で手続きを済ませるために、マイナンバー通知カードやマイナンバーカードのコピーや運転免許証、運転免許証がない場合は、その他身分証のコピーを求めてくる場合もあります。
その場合は、会社の手続きに協力しましょう。
ただし、扶養家族の手続きがない人の場合は、扶養家族のマイナンバーは必要ないでしょう。
6、マイナンバーがわからない時には?

マイナンバー通知カードを紛失してマイナンバーがわからないときは、行政の窓口でマイナンバーを再発行してもらう事ができます。
ただし、急ぐ場合は、印鑑証明や住民票をとればマイナンバーが記載されていますので、マイナンバーの代わりに、住民票等を提出することも可能です。
しかし、マイナンバーを何処で紛失したかがわからない場合は、マイナンバーを悪用される可能性もあるので、マイナンバーを紛失したことを行政に相談することも検討した方が良いでしょう。
その場合、警察に落とし物(マイナンバーカード、マイナンバー通知カード)として届け出る必要もあるかもしれません。
しかし、それは最後の手段です。
自分の身分証となる、一生の番号ですので大切にしましょう。
また、日本に住民票のない人は、マイナンバー自体がありません。
例えば留学中の外国人や在外日本人でも、日本でアルバイトをする事はできます。
そのような場合は、日本に住民票がなく、マイナンバーがないことを、アルバイト先に伝えるだけで大丈夫です。
7、小括

いかがだったでしょうか?
マイナンバーの役割をご理解頂けましたでしょうか。
マイナンバーは、日本に住民票を持つ国民全てに割りふられた12桁の個人番号です。
政府は、アメリカの「個人ID」のナンバーを理想とし、今後一層のマイナンバーカードの普及と、民間機関・民間企業のプリペイドカードや会員証、クレジット・金融機関のカードとの一体化等、様々なシーンでマイナンバーカードが活躍する可能性、あらゆるシーンでの個人認証カードとして使えるようにしたいと考えています。
現在のところは、税・社会保障・災害対策に関するあらゆる手続きや、行政の申請や届け出をスムーズに簡潔に行うことができるために大変活躍するマイナンバーです。
また、マイナンバーは、賃金をもらって働く(賃金台帳に記載する)以上、例えアルバイトでもマイナンバーが必要となっています。
労働・社会諸法令に従って、さまざまな労働者のための手続きをする場合は必須です。
税法上のさまざまな特別徴収(給与控除・賃金控除)等も、会社は労働者の行政に関わるあらゆる手続きに、マイナンバー記載が義務づけられているので、会社は、必ずマイナンバーの提出を、採用された最初の手続きで求めてきます。
それを断ったとしても、法的な罰則はありませんが、会社側にさまざまな迷惑をかけることになりまので、会社側へのあなたの印象において、あなたが非常に不利益な立場となる可能性を高めるだけです。
そもそも、会社は雇用したアルバイトのマイナンバーを悪用した場合、刑罰に問われます。
情報漏洩も、社会的な信用失墜となり、会社は社会的に抹殺されます。
だから、一般的によほどの違法な会社でない限り、マイナンバーの悪用の心配は無いのです。
マイナンバーを提出しないことで個人情報を守るよりも、たとえアルバイトでも、マイナンバーを安心して提出しても大丈夫だと信用できる会社を選ぶことの方が、よほど個人情報を守ることになります。
ただし、扶養家族の手続きをしない場合は、家族のマイナンバーまで提出する必要はありませんので、必要ないマイナンバーの提出を拒んでも問題は無いでしょう。
8、まとめ
マイナンバーとは、日本に住民票を持つ日本国民全てが持つ12桁の個人番号。
政府は、今後アメリカの個人IDのようにマイナンバーカード1枚で、あらゆるシーンで、個人認証ができるようにすることが目標。
現在は、税、社会保障、災害対策、その他行政手続きや行政への申請に活躍する。
会社は、労働・社会諸法令に関する全ての帳簿や手続き書類にマイナンバー記載義務があり、法令通りに記載しなければ、労働・社会諸法令違反となり、罰則もある。
マイナンバー不帰債が許される正当な理由は「日本に住民票を持たないアルバイトである」という証拠がある場合のみだ。
賃金をもらう以上、さまざまな手続きで会社は必要となるので、雇用したアルバイトに対し、会社はマイナンバー提出を必ず求める。
もしも会社がマイナンバーの悪用や情報漏洩をした場合、会社が被る不利益は、会社が倒産するほど大きなものなので、違法性のない普通の会社の場合、マイナンバーを提出しても安心だ。
一方、マイナンバーの提出を断ってもアルバイトには罰則はない。
個人情報を盾にマイナンバー提出を拒むと、社会的に不利益を被ることにしかならない。
マイナンバーの悪用・漏洩を心配する前に、そんなことになら無い信用できる真っ当な会社で働く事が自分を守る術となる。